障害福祉サービスを使っている方が65歳になったら ― 「介護保険に切り替わって終わり」ではありません
65歳が近づくと、「今使っているサービスは、もう使えなくなるのでは」という不安の声をよく聞きます。
結論から言うと、一律に切り替わるわけではありません。
この記事では、65歳の壁と呼ばれる「介護保険優先原則」について、調査を行う側から分かりやすく整理します。
認定調査に携わる立場からの個人的な経験と、公表されている制度資料にもとづいています。所属先の見解ではありません。運用の細部は自治体によって異なります。
なぜ「65歳の壁」と言われるのか
障害者総合支援法第7条により、相当する介護保険サービスがある場合は、原則として介護保険が優先されます。
これが「介護保険優先原則」です。
ただし、これは「障害福祉サービスが使えなくなる」という意味ではありません。サービスの種類によって、続けられるかどうかが変わる、というのが正確なところです。
続けられるもの・変わるもの
◆横出し
障害福祉にしかないサービス(同行援護、行動援護、就労系の支援など)は、介護保険に相当するものがないため、そのまま継続できます。
◆上乗せ
介護保険の支給限度額だけでは足りない部分を、障害福祉サービスで補うことができます。
◆要介護非該当のとき
介護認定の結果が「非該当」でも、必要性が認められれば障害福祉サービスを利用できます。
つまり、「65歳になったら全部介護保険に一本化される」わけではなく、サービスごとに個別に判断されるのが実際のところです。
費用の負担が変わることへの手当てもあります
障害福祉サービスは所得に応じた負担(非課税世帯は0円)ですが、介護保険は原則1割負担です。
長く障害福祉サービスを利用してきた方が65歳を境に自己負担が増える、という問題に対して、新高額障害福祉サービス等給付費という制度があります(平成30年4月〜)。
介護保険の利用者負担が、要件を満たせば償還される仕組みです。主な要件は次の通りです。
- 65歳になる前の5年間、障害福祉サービスの支給決定を受けていたこと
- 障害支援区分2以上であったこと
- 65歳になるまで介護保険の給付を受けていなかったこと
- 非課税世帯、または生活保護を受給していること
**この制度は、申請しないと適用されません。**該当しそうな場合は、自分から動く必要があります。
今、何をすればいいか
65歳が近づいてきたら、次の順番で動くことをおすすめします。
1. 早めに相談支援専門員か市町村の窓口に相談する
「そろそろ65歳だけど、今のサービスはどうなるか」を、余裕を持って確認してください。切り替えの手続きには時間がかかることがあります。
2. 今使っているサービスを、種類ごとに整理してもらう
「これは介護保険に移る」「これは障害福祉のまま継続できる」を、担当者と一緒に一つずつ確認します。
3. 新高額障害福祉サービス等給付費の対象になるか確認する
長く障害福祉サービスを使ってきた方は、特に確認しておく価値があります。
最後に
65歳は、サービスが終わる年齢ではありません。
「65歳になったから、はい終わりです」ということは、制度上ありません。
不安な場合は、まず一言、相談支援専門員か市町村の窓口に聞いてみてください。「このサービスは続けられますか」という質問に、きちんと答えてもらえます。
障害支援区分の認定調査そのものの流れ(申請から結果通知まで、80項目の内訳など)は、こちらにまとめています。 → 〔障害支援区分の認定調査―調査員は何を見て、どう記録しているのか〕https://shien-no-kotoba.com/?p=10

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