認定調査では、「今日はできます」だけで判断しません。
私が見ているのは、
- できない日があるか
- 見守りや声かけが要るか
- 一人だったらどうなるか
- 外ではどうなるか
この4つです。
質問の意図が分からないまま答えるのは、不安なものだと思います。
この記事では、調査を行う側から、何を見て、どう記録しているのかを書きました。
認定調査に携わる立場からの個人的な経験と、公表されている制度資料にもとづいています。所属先の見解ではありません。運用の細部は自治体によって異なります。
- この記事で分かること
- 1.障害支援区分とは
- 2.要介護認定とは、測っているものが違います
- 3.介護保険サービスと障害福祉サービスは、目的が違います
- 4.区分の認定が必要な人・不要な人
- 5.申請から利用開始までの流れ
- 6.調査員は、区分を決めていません
- 7.訪問の前に、私が確認していること
- 8.調査は4つの材料でできている
- 9.認定調査項目(80項目)の5領域
- 10.判断に迷ったとき、必ず立ち返る4つの原則
- 11.調査員は、こんなところまで見ています
- 12.特記事項は、実はここが一番重要です
- 13.本人が「できます」と答えたとき
- 14.本人の前で話しにくいことへの配慮
- 15.同席者について、調査員が考えていること
- 16.調査員が「してはいけない」と教わること
- 17.区分によって、使えるサービスが変わります
- 18.認定結果の通知・有効期間・不服があるとき
- 19.サービス等利用計画と支給決定
- 20.調査でよくある誤解 Q&A
- まとめ
この記事で分かること
- 調査員は、何を見ているのか
- なぜ同じような質問を、何度もするのか
- 特記事項には、何がどう書かれているのか
- ご家族は、何を伝えればいいのか
制度だけ知りたい方は前半(1〜5章)を、調査員の考え方を知りたい方は6章からお読みください。
同じ状況でも伝え方一つで記録がどう変わるかを、具体例で見たい方はこちらの記事もあわせてどうぞ。 → 〔認定調査で「できます」と答える前に―同じ状況でも、伝え方で記録はこう変わります〕
1.障害支援区分とは
障害者総合支援法にもとづく、「必要とされる標準的な支援の度合い」を示すものです。
「非該当」と「区分1〜6」の7段階。数字が大きいほど、必要な支援の度合いが高いことを表します。
大切なのは、障害の重さそのものを測る制度ではないということ。
同じ診断名でも、生活の中でどれだけの支援が必要かによって区分は変わります。
2.要介護認定とは、測っているものが違います
| 障害支援区分 | 要介護認定 | |
|---|---|---|
| 根拠法 | 障害者総合支援法 | 介護保険法 |
| 区分 | 非該当・区分1〜6 | 非該当・要支援1〜2・要介護1〜5 |
| 測るもの | 支援の度合い | 介護の手間(時間) |
| 調査項目 | 80項目 | 74項目(基本調査) |
| 有効期間 | 原則3年 | 原則6か月〜48か月 |
いちばん違うのは、行動面・精神面の比重です。
80項目のうち34項目が行動障害に関する項目で、知的障害・精神障害・発達障害の特性が反映されやすい設計になっています。
3.介護保険サービスと障害福祉サービスは、目的が違います
| 障害福祉サービス | 介護保険サービス | |
|---|---|---|
| 目的 | 自立した生活と社会参加 | 加齢にともなう介護ニーズへの対応 |
| 対象年齢 | 制限なし(18歳未満は児童福祉法) | 65歳以上/特定疾病による40歳以上 |
| 費用負担 | 応能負担(非課税世帯は0円) | 原則1割(所得により2〜3割) |
| 支給量 | 一人ひとりの必要性に応じて決定 | 区分支給限度基準額の範囲内 |
| 計画を作る人 | 相談支援専門員 | ケアマネジャー |
障害福祉にしかないもの:同行援護、行動援護、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援、重度訪問介護など。就労支援や外出・行動面の支援は、介護保険に相当するサービスがありません。
介護保険にしかないもの:訪問リハビリ、通所リハビリ、福祉用具貸与、特別養護老人ホームなど。
◆65歳になったら(介護保険優先原則)
障害者総合支援法第7条により、相当する介護保険サービスがある場合は、原則として介護保険が優先されます。
ただし、一律に切り替わるわけではありません。
- 横出し:相当サービスがないもの(同行援護、行動援護、就労系など)は継続できます
- 上乗せ:支給限度額で足りない分は、障害福祉サービスで補えます
- 要介護非該当:必要性が認められれば、障害福祉サービスを利用できます
長く障害福祉サービスを利用してきた方には、介護保険の利用者負担が償還される新高額障害福祉サービス等給付費(平成30年4月〜)もあります。65歳前5年間の支給決定、区分2以上、非課税または生活保護、65歳まで介護保険給付なしが主な要件で、申請が必要です。
▷受ける側へ 65歳が近づいたら、移行の前に相談支援専門員か市町村の窓口へ。「65歳になったから終わり」ではありません。
4.区分の認定が必要な人・不要な人
必要:介護給付(居宅介護、重度訪問介護、行動援護、生活介護、短期入所、施設入所支援など)を利用する場合。
不要:訓練等給付(就労移行支援、就労継続支援、自立訓練など)のみの場合。また18歳未満の障害児には区分がありません(発達の途上にあり、通常の育児上のケアとの区別が難しいため)。
5.申請から利用開始までの流れ
申請 ↓ 医師意見書の依頼 ↓ 認定調査(訪問) ↓ 一次判定(コンピュータ) ↓ 二次判定(市町村審査会) ↓ 区分決定・通知 ↓ サービス等利用計画案 ↓ 支給決定・受給者証 ↓ 利用開始
結果が出るまで、申請からおおむね1〜2か月。審査会の開催頻度は自治体によってまちまちです。
▷受ける側へ 利用開始の時期が決まっている場合は、逆算して早めに申請を。
6.調査員は、区分を決めていません
認定調査を行うのは、市町村の職員、または市町村から委託を受けた指定一般相談支援事業者の相談支援専門員等。いずれも都道府県の認定調査員研修を修了した人が担当します。
私が自分の立場について、常に意識していることが3つあります。
◆区分を決める権限はありません
私の仕事は、聞き取りと記録です。決めるのは市町村(審査会)。
だからその場で「区分◯くらいですね」とは言えません。
◆どちらの味方でもありません
区分を上げるためでも、抑えるためでもない。その方の生活の実際を、判定に使える形に置き換えるのが役割です。
◆聞いたことは、認定の目的以外に使いません
話しにくいことも含めて伺うので、ここはいつも意識しています。
▷受ける側へ 区分の見込みを聞かれても、私は答えられません。濁されたら、そういう立場だからだと思ってください。
7.訪問の前に、私が確認していること
調査は、玄関を入った瞬間から始まるわけではありません。
◆時間帯を相談します……日内変動のある方は、時間帯で様子がまったく違います。「午前はほぼ起きられない」という方に午前の訪問を設定してしまうと、実情が見えません。
◆同席者と、場所を確認します……誰が同席できるか。本人と別に話す時間が必要か。
◆概況を先に把握します……現在のサービス利用、日中の過ごし方、住まいの状況。先に全体像があると、訪問時間を聞き取りに使えます。
◆所要時間を見積もります……おおむね1時間前後。行動面の項目が多い方はもう少しかかります。疲れやすい方は、休憩をはさむ前提で組み立てます。
▷受ける側へ 日程調整のときに、**「本人が話しやすい時間帯」「別に伝えたいことがある」**と一言。それだけで訪問の組み立てが変わります。
当日までに、こんなメモが1枚あると聞き取りが進みます。
- 1日の流れ(起床・食事・服薬・入浴・就寝)と、誰がどう関わっているか
- 行動面・精神面の出来事と、その頻度
- 医療的ケアの内容と回数
- 困っていること
8.調査は4つの材料でできている
①概況調査……サービス利用、日中活動、就労、居住、介護者の状況など、生活の全体像
②認定調査(80項目)……一次判定のコンピュータ計算に使われる選択式の項目
③特記事項……選択肢では表せない実情を、調査員が文章で記録するもの
④医師意見書……主治医が心身の状態や医学的な留意点を記載するもの
一次判定は、②と④の一部だけで機械的に出されます。
だから私は、③に何を残すかを、いちばん慎重に考えています。
9.認定調査項目(80項目)の5領域
1.移動や動作等(12項目) 寝返り、起き上がり、座位保持、歩行、移乗、立ち上がり、衣服の着脱など
2.身の回りの世話や日常生活等(16項目) 食事、排せつ、入浴、口腔清潔、洗顔・整髪、調理、掃除、買い物、交通手段の利用、金銭の管理、服薬の管理など
3.意思疎通等(6項目) 視力、聴力、コミュニケーション、説明の理解、読み書き、感覚過敏・感覚鈍麻
4.行動障害(34項目) 大声・奇声、多動、自傷、他害、こだわり、不安定な行動、昼夜逆転、話がまとまらない、意欲が乏しい、幻覚・妄想、対人トラブルなど
5.特別な医療(12項目) 点滴の管理、中心静脈栄養、透析、ストーマの処置、酸素療法、レスピレーター、気管切開の処置、疼痛の看護、経管栄養、モニター測定、じょくそうの処置、カテーテル
10.判断に迷ったとき、必ず立ち返る4つの原則
前身の「障害程度区分」は身体面の評価が中心で、知的・精神・発達障害の特性が反映されにくいという課題がありました。その反省から作られたのが、いまの考え方です。
選択肢に迷ったとき、私はこの4つに戻ります。
◆原則1:できたりできなかったりする場合は、「できない場合」も含めて判断する
支援が必要になるのは、「できない日」だからです。
できる日だけを基準にすると、実際に困っている場面が、まるごと抜け落ちます。
ただし項目によっては、「より頻回に見られる状況」で判断します。
だから私は、**「月に何回くらいですか」「週に何日くらいですか」**を、しつこいくらい伺います。
◆原則2:見守りや声かけが必要なら、それも「支援」として評価する
旧制度では身体介助が中心で、見守りや声かけが数字に表れませんでした。
その結果、知的・精神・発達障害のある方の負担が、区分に反映されにくかったのです。
手は出していないけれど、目は離せない。
それは、支援です。
私が必ず確認しにいく部分です。
◆原則3:普段の環境ではなく「自宅で単身生活する」と想定して評価する
いま置かれている環境で判断すると、支援が手厚い人ほど「支援が要らない人」に見えてしまうからです。
家族が全部やっているから支援不要、施設職員がいるから支援不要。それでは公平に測れません。
だから私は、必ずこう伺います。
「ご家族がされているのですね。では、もしお一人だったら、どうなりますか」
◆原則4:慣れていない状況や初めての場所で「できない」場合も含めて判断する
生活は、自宅の中だけで完結しないからです。
通院、買い物、災害時の避難、事業所の変更——環境が変わる場面は必ずあります。
- 自宅では使える福祉用具が、慣れない場所では使えない
- 決まった手順なら着替えられるが、順番が変わると止まる
- 家族以外が相手だと、意思を伝えられない
- 人が多い場所では、その場にいられない
調査は、自宅で行われることがほとんどです。
外での様子は、話していただかなければ記録に残りません。
だから私は、「お家の外ではどうですか」を必ず伺います。
▷受ける側へ 身構える必要はありません。 「できる日もあるけれど、できない日もある」「見ていないと止まる」「一人だったらできない」「外だとできない」 そのまま話していただければ大丈夫です。
11.調査員は、こんなところまで見ています
◆同じことを、言い方を変えて何度も聞きます
意地悪ではありません。80項目はそれぞれ評価の軸が違うので、似た質問に見えても、確認したいポイントが別なのです。
◆「今日は」ではなく「普段は」と聞きます
調査当日の様子は、一断面でしかありません。知りたいのは、繰り返される日常のほうです。
◆「できますか」で終わらせません
「できます」で止めると、実情が抜け落ちます。だから私は、その先を伺います。
- どうやって?(手順・道具・時間)
- 誰かが関わっていますか?(準備・声かけ・確認・見守り)
- できない日はありますか?(頻度)
- 直近では、いつ困りましたか?(エピソード)
◆部屋の様子も見ています
手すり、段差、福祉用具、薬の置き方、片づけの状況。言葉に出てこなかった支援のヒントが、生活の場にはあります。
◆世間話にも意味があります
会話の理解、話のまとまり、集中の続き方。質問形式では測りにくいことです。
◆介護しているご家族の状況も伺います
夜間の見守り、目が離せない時間帯、仕事や睡眠への影響。概況調査の一部です。
◆メモを取るのは、疑っているからではありません
特記事項に残すためです。たくさん書いているときほど、伝わっている証拠だと思ってください。
▷受ける側へ うまく説明しようとしなくて大丈夫です。 具体的なこと・頻度・直近の出来事、この3つがあれば、あとはこちらで整理します。
12.特記事項は、実はここが一番重要です
一次判定は、コンピュータが機械的に出します。
その後の二次判定(市町村審査会)で、医師や福祉の専門職が、特記事項と医師意見書を読み込み、総合的に判断します。ここで区分が変わることもあります。
つまり——
選択肢に収まりきらなかった実情は、特記事項に書かなければ、審査会に届きません。
だから私は、次のことを意識しています。
◆推測ではなく、事実で書く……「大変そうだった」ではなく、「◯◯の場面で△△があり、家族が□□を行っている」。審査会の委員は、その場にいなかった人たちです。
◆まず、頻度を書く……「時々」ではなく「週2〜3回」。「困っている」ではなく「先週こういうことがあった」。
◆選択肢と実情がずれたら、必ず書き添える……選択肢では「支援が不要」になるけれど、実際には条件つきでしかできていない。こういう場面こそ、特記事項の出番です。
◆本人の言葉と、ご家族の言葉を両方残す……食い違ったときに、どちらかを消さない。両方あることに意味があります。
▷受ける側へ 「ここは大変なんです」と話すことには、きちんと意味があります。 その一言が、審査会まで届く文章になります。
同じ状況でも、伝え方一つで記録がどう変わるか。具体例はこちらにまとめています。 → 〔認定調査で「できます」と答える前に―同じ状況でも、伝え方で記録はこう変わります〕
13.本人が「できます」と答えたとき
自尊心から、あるいは調査という場だからこそ、実際より前向きに答えられることがあります。
私はこれを、訂正すべきものだとは思っていません。
◆その場で否定しません……否定されると、その後の質問に答えていただけなくなります。
◆本人の言葉として残したうえで、状況を確認します……「ご本人はできるとおっしゃっていますね」と受け止めてから、手順や頻度を伺います。
◆ご家族が話しにくそうなら、聞き方を変えます……場面を分けるか、あとで確認する方法を提案します。
◆本人とご家族の話が違っても、どちらかを消しません……両方を特記事項に残します。その差そのものが、状態を表していることがあるからです。
▷受ける側へ 本人を否定したくない気持ちは、こちらにも伝わっています。 「そうですね、やろうとしてくれます。ただ途中で止まってしまうことが多くて…」 補足する形で構いません。
14.本人の前で話しにくいことへの配慮
行動面や精神症状の話は、本人の前ではしにくいものです。
私も、それは十分に分かっています。だから、次のような方法をとります。
- 事前に「別に伝えたいことがあるか」を確認しておく
- 調査の前後に、別室で話す時間をつくる
- ご家族からメモを受け取り、後で内容を確認する
- 本人の負担が大きそうなときは、休憩をはさむ
こうした場面には慣れています。気まずくさせてしまうことはありません。
▷受ける側へ 申請時や日程調整の電話の段階で、**一言伝えておいてください。**それだけで訪問の組み立てが変わります。
15.同席者について、調査員が考えていること
同席していただけると、記録の精度が大きく上がります。
◆頻度と経過は、そばで見ている人にしか分かりません……「いつからか」「どのくらいの頻度か」は、本人からは出てきにくい情報です。
◆本人が安心できることを、いちばん大事にしています……知っている人がいると、緊張がゆるんで、普段に近い様子が見えます。
◆生活の場面ごとに、見ている人が違います……家庭、日中活動先、グループホーム。だから相談支援専門員、ヘルパー、世話人、事業所の職員からの情報も、あるとありがたいのです。
▷受ける側へ 全員が同席できなくても大丈夫。他の場面を知っている方からのメモを預かっていただければ、それも記録に使えます。
16.調査員が「してはいけない」と教わること
最後に、私が戒めとして持っている部分も書いておきます。
◆誘導しない……「こういうことはありませんか?」と、答えを示す聞き方はしません。
◆その場で区分を予告しない……決めるのは審査会です。安易な見込みは、期待にも不安にもつながります。
◆本人を置き去りにしない……ご家族や支援者だけで話が進まないようにします。主語は本人です。
◆選択肢に合わせて、実情を丸めない……当てはまる選択肢がないときこそ、特記事項に書く。ここを省略しないことが、いちばん大事だと思っています。
そして——
大げさに言えば区分が上がる、ということはありません。
話を盛ると、他の項目や医師意見書と食い違い、審査会でかえって判断がつきにくくなります。
私は、区分を上げるための文章も、下げるための文章も書きません。
その人の生活を書くだけです。
ただ、その生活が伝わらなければ、必要な支援にも届きません。
だから私は、頻度を書きます。
具体例を書きます。
家族の関わりを書きます。
17.区分によって、使えるサービスが変わります
区分は「ランク付け」ではなく、サービスの入口です。
- 居宅介護:区分1以上
- 生活介護:原則区分3以上(50歳以上は区分2以上)
- 短期入所:区分1以上
- 重度訪問介護:区分4以上(一定の要件あり)
- 行動援護:区分3以上、かつ行動関連項目等(12項目)の合計が10点以上
- 施設入所支援:原則区分4以上(50歳以上は区分3以上)
- 重度障害者等包括支援:区分6、かつ意思疎通に著しい困難がある方
一方、就労移行支援・就労継続支援・自立訓練などの訓練等給付は、区分認定がなくても利用できます。
※要件の細部は法改正や自治体の運用で変わります。市町村の窓口か相談支援事業所で確認してください。
18.認定結果の通知・有効期間・不服があるとき
◆通知……区分が決まると市町村から通知が届き、介護給付を利用する場合は受給者証が交付されます。
◆有効期間……原則3年。状態の変化が見込まれる場合などは、3か月以上3年未満で短く設定されることもあります。更新には、あらためて申請・認定調査・医師意見書が必要です。
◆状態が変わったとき……有効期間の途中でも、区分変更申請ができます。
◆結果に納得できないとき……都道府県知事に審査請求ができます(都道府県の障害者介護給付費等不服審査会が審査します)。期間は原則として、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内です。
▷受ける側へ まずは市町村の窓口や相談支援専門員に、判断の理由を確認するところから始めてみてください。
19.サービス等利用計画と支給決定
区分が決まっても、それだけではサービスは始まりません。
指定特定相談支援事業所の相談支援専門員が「サービス等利用計画案」を作成し、これをもとに市町村が支給量を決定します。受給者証が交付されて、ようやく利用開始です。
開始後も、相談支援専門員が定期的にモニタリングを行い、必要に応じて計画を見直します。
区分は入口、計画は中身。どちらも「どんな暮らしがしたいか」から出発するものです。
20.調査でよくある誤解 Q&A
Q1.「頑張ればできた」は、”できる”に入りますか?
いつもそうできるかどうかが基準です。毎回かなりの時間がかかる、声をかけ続けないと終わらない、翌日ぐったりする——それは「支援が必要な状態」です。
「できました」ではなく、**「できるけれど、こういう条件がついています」**と教えてください。
Q2.家族が全部答えてもいいですか?
まず本人に伺いますが、そのあとの補足はとてもありがたいです。先に本人が話す時間さえあれば、あとは遠慮なくどうぞ。
Q3.メモを渡してもいいですか?
大歓迎です。短くて構いません。**「いつ・どのくらいの頻度で・誰がどう関わったか」**が書いてあると、そのまま活かせます。
本人の前で読まれたくない内容であれば、その旨を書き添えてください。別の場面で確認します。
Q4.本人が「できます」と言ったら、そのまま記録されますか?
いいえ。手順、頻度、誰が関わっているかを確認していきます。本人の言葉と実際の状況、どちらも記録に残します。
Q5.調査の日だけ頑張れてしまいました。もう遅いですか?
市町村の担当窓口に連絡してみてください。審査会の前であれば、追加で確認されることがあります。区分が出たあとなら、区分変更申請という方法もあります。
Q6.大げさに言ったほうが有利ですか?
いいえ、逆です。他の項目や医師意見書と食い違うと、審査会で判断がつきにくくなります。事実と頻度が、いちばん強いとお伝えしておきます。
Q7.調査員に、区分の見込みを聞いてもいいですか?
聞いていただいて構いませんが、答えられません。決めるのは審査会だからです。意地悪で濁しているわけではありません。
まとめ
認定調査は、「できるか、できないか」を試す時間ではありません。
その方が普段どんな暮らしをしていて、どんな支えがあれば安心して生活できるのかを、制度に伝えるための時間です。
だから、うまく話せなくても大丈夫。整えるのは、こちらの役目です。
そのうえで、もし一つだけ覚えて帰っていただけるなら——
話していただけなかったことは、記録に残せません。
調子の悪い日のこと。
見守りが必要なこと。
一人だったらどうなるか。
外ではどうなるか。
どれも、こちらから見ただけでは分からないことです。
私は、その方の暮らしを、審査会まで届く言葉に置き換えることが仕事だと思っています。
認定調査で見ているのは、「障害」ではありません。
その人が、どんな支えがあれば、その人らしく暮らせるのか。
私は、その暮らしを制度へ伝えるために、今日も記録を書いています。
特記事項に何を書くかで結果が変わる、という話を、もっと具体的な会話の例で見てみたい方はこちらへ。
→ 〔認定調査で「できます」と答える前に―同じ状況でも、伝え方で記録はこう変わります〕



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