障害支援区分認定調査、新人調査員が最初に迷うポイント ― マニュアルだけでは埋まらない部分
認定調査員の研修を終え、マニュアルを一通り読んでも、実際の訪問調査で迷う瞬間は必ずやってきます。
これは、新人だからというより、この仕事そのものの性質なのだと思います。
この記事では、後進の指導に携わる立場から、新人調査員が最初につまずきやすいポイントを紹介します。
認定調査に携わる立場からの個人的な経験にもとづいています。所属先の見解ではありません。判断基準の細部や運用は自治体によって異なる場合があります。この記事では具体的な判定基準には踏み込まず、「どこで迷いやすいか」に絞って紹介します。実際の判断に迷ったときは、必ず所属先の指導担当者や自治体のマニュアルを確認してください。
1. 「一部はできる、でも体調不良のときは全部できない」で迷う
これは、本当によく聞く迷いです。
普段は一部の動作を自分でできる方が、「体調が悪い日は、ほとんど支援が必要になる」と話される場面。
このとき、部分的な支援と判断するのか、それとも全面的な支援と判断するのか。新人のうちは、判断がぶれやすいところです。
私自身も、最初の頃はここで手が止まりました。マニュアルには判断の原則が書かれていますが、実際の生活は、原則どおりにきれいに分かれてくれるわけではありません。
この迷いは、マニュアルを何度読み返しても、経験を重ねる中で少しずつ感覚をつかんでいく部分なのだと思います。
2. 選択肢の定義が、なかなか覚えられない
80項目それぞれに支援の程度を表す選択肢があり、その定義を正確に理解するのは、率直に言って簡単ではありません。
似たような言葉が並んでいて、「見守り等」と「部分的な支援」の境目がどこにあるのか。最初のうちは、何度も定義に立ち返ることになります。
これは、新人だから覚えが悪いということでは決してありません。項目数が多く、それぞれに細かい定義があるという、この仕事の構造そのものが難しいのだと思います。
私自身も、経験を積んだ今でも、迷ったときはマニュアルに立ち返ります。「もう覚えていて当然」と自分を追い込むより、必要なときにきちんと確認する習慣を持つことの方が大切だと感じています。
3. 定義と少しずれる特性を聞き取ったとき、どう扱うか迷う
マニュアルに書かれている定義と、目の前で聞き取った内容が、微妙にずれることがあります。
このとき、「この項目の頻度としてカウントするべきか」「無理にカウントせず、特記事項に記載するべきか」で迷う場面も、新人のうちによく出てくる悩みです。
型どおりに当てはまらない生活の実情を、どのように扱うか。ここは、簡単には答えの出ない部分です。また、自治体によって運用や考え方が異なることもある領域だと感じています。
だからこそ、一人で抱え込まず、判断に迷ったときは所属先の指導担当者や先輩調査員に相談することが、遠回りに見えて一番確実だと思います。
迷うこと自体は、悪いことではありません
ここまで挙げた3つに共通しているのは、**「マニュアルには原則が書いてあるけれど、目の前の生活はその通りにはいかない」**という点です。
新人のうちは、この迷いを「自分の理解が足りないから」と捉えてしまいがちです。でも、実際には、経験を積んだ調査員でも判断に迷う場面はあります。迷うこと自体は、この仕事の一部なのだと思います。
大切なのは、迷ったときに一人で判断を急がず、確認したり相談したりする習慣を持つことです。
最後に
マニュアルは、判断の土台になる大切なものです。ただ、マニュアルだけですべての場面をカバーしきれるわけではないというのも、この仕事の実情だと思います。
新人のうちにたくさん迷うのは、自然なことです。その迷いを一つひとつ確認しながら経験を積み重ねていくことが、結果として、より正確な判断や記録につながっていくのだと感じています。
障害支援区分の認定調査そのものの流れについては、こちらにまとめています。 → 〔障害支援区分の認定調査―調査員は何を見て、どう記録しているのか〕
認定調査員に資格が必須かどうかについては、こちらの記事で解説しています。 → 〔認定調査員に、資格は必須なのか―「持っていないとなれない」わけではありません〕


コメント