要介護認定調査と障害支援区分の認定調査、両方必要なとき ― 同じ時期に重なったらどうなるか

制度の基礎知識

要介護認定調査と障害支援区分の認定調査、両方必要なとき ― 同じ時期に重なったらどうなるか

「介護保険の調査も受けたばかりなのに、また同じような調査を受けるんですか?」

65歳前後の方や、すでに介護保険サービスを利用している方から、こう聞かれることがあります。

要介護認定調査と障害支援区分の認定調査が、同じ時期に必要になるケースは、実際にあります。

この記事では、なぜ2つの調査がそれぞれ必要になるのか、そして同じ時期に重なった場合、どのように進むことが多いのかを整理します。

認定調査に携わる立場からの個人的な経験と、公表されている制度資料にもとづいています。所属先の見解ではありません。両方の調査が重なる場合の具体的な運用は、自治体によって異なることがあります。必ず、お住まいの市町村の窓口でご確認ください。


まず知っておいてほしいこと

要介護認定調査と障害支援区分の認定調査は、根拠となる法律も、調査項目も、判定の考え方も異なる調査です。

介護保険法にもとづく要介護認定調査と、障害者総合支援法にもとづく障害支援区分の認定調査は、似ている部分があっても、それぞれ別の制度として進められます。

そのため、両方の認定が必要な場合には、一方の調査を受けたことで、もう一方の調査が自動的に不要になるわけではありません。


どんなときに、両方必要になるのか

主に、次のような場面で考えられます。

  • 65歳が近づき、介護保険サービスの利用と、障害福祉サービスの継続利用について検討する場合
  • すでに要介護認定を受けているが、利用を希望する障害福祉サービスについて、障害支援区分の認定が必要になる場合
  • 障害福祉サービスを利用してきた方が、65歳未満でも特定疾病により要介護認定の対象となり、介護保険サービスの利用も検討する場合

1つ目・2つ目は、65歳前後の制度の切り替えや、いわゆる「介護保険優先原則」に関わることが多い場面です。 3つ目は、40歳以上65歳未満で特定疾病に該当し、要介護認定の対象となる場合です。65歳前後だけでなく、このような場合にも、両方の制度が関わることがあります。

65歳前後にサービスがどう変わるのかについては、別の記事で詳しく解説しています。


なぜ、まとめて1回で済ませられないのか

理由の一つは、調査項目や判定の仕組みが異なることです。

要介護認定と障害支援区分では、どちらも日常生活の状況について確認しますが、調査項目や評価の考え方には違いがあります。共通する質問があったとしても、それぞれの制度で必要とされる情報や、判定に用いる仕組みは同じではありません。

たとえば、同じ「歩けるか」という内容を確認する場合でも、その回答がどのように評価されるかは、それぞれの制度によって異なります。見た目には同じような質問でも、確認している目的や、その後の判定へのつながり方が異なります。

そのため、基本的には、一方の調査結果だけで、もう一方の調査をそのまま代用することはできません。


実際には、別々の調査になることが多い

両方の認定が必要な場合、それぞれの制度に沿った調査が行われます。結果として、別の調査員が、別の日程で訪問することもあります。

「同じようなことを、また別の人に説明するのか」と感じる方もいると思います。ただ、それぞれの調査には別の目的があるため、同じような質問が重なることがあります。


所要時間について

調査にかかる時間は、本人の状態や確認する内容によって大きく異なります。短時間で終わる場合もあれば、生活状況や支援の内容を詳しく確認する必要があり、時間がかかる場合もあります。

そのため、両方の調査が近い時期に予定されている場合は、できるだけ余裕のある日程を確保しておくと安心です。

また、2つの調査を同じ日に行えるかどうかについても、自治体や調査の実施体制によって異なります。日程について希望や不安がある場合は、早めに窓口へ相談してみてください。


実際に、どう進めればいいか

同じ時期に2つの調査が重なる場合、少しでも負担を減らすためにできることがあります。

◆両方の申請状況を、それぞれの窓口に伝えておく

「介護保険の認定調査も別に受ける予定です」「障害支援区分の申請も進めています」

このように、それぞれの窓口に伝えておくことで、日程について相談しやすくなります。必ずしも希望どおりに調整できるとは限りませんが、まず状況を共有しておくことは大切です。

◆生活状況をまとめたメモを活用する

生活の状況や困っていること、支援を受けている内容、頻度や具体的なエピソードをまとめたメモがあれば、両方の調査で参考にできます。同じことを一から説明し直す負担を減らすことにもつながります。

◆先に受けた調査があることを伝える

「先日、要介護認定の調査を受けました」「障害支援区分の調査も予定されています」

このように伝えることで、調査の背景を調査員が把握しやすくなる場合があります。ただし、一方の調査結果が、そのままもう一方の判定に使われるわけではありません。


同じ質問をされても、驚かないでください

要介護認定調査でも、障害支援区分の認定調査でも、日常生活の様子を尋ねられる場面があります。

「歩けますか」「食事はどうしていますか」——同じような質問が重なることもあります。

これは単純な「調査の重複」ではなく、それぞれの制度が、それぞれの目的のために必要としている情報だからです。面倒に感じることもあると思いますが、それぞれの調査で、その時点の生活状況を率直に伝えていただくことが大切です。


最後に

要介護認定調査と障害支援区分の認定調査は、似ているように見えても、別の制度にもとづく別の調査です。

両方が必要になる時期は、生活や利用するサービスが変わるタイミングと重なることもあります。負担に感じるのは、自然なことです。

だからこそ、2つの申請が同時期に進んでいることを、それぞれの窓口に早めに伝えておくことをおすすめします。状況を共有することで、日程や手続きについて相談しやすくなることがあります。


障害支援区分と要介護認定、そもそもの違いについては、こちらにまとめています。 → 〔障害支援区分と要介護認定は何が違うのか〕

65歳を迎えたときにサービスがどうなるかは、こちらの記事で詳しく解説しています。 → 〔障害福祉サービスを使っている方が65歳になったら―「介護保険に切り替わって終わり」ではありません〕

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