「経験を積めば、迷わなくなる」
そんなイメージを持たれることがあります。
実は、少し違います。私は認定調査を担当するようになって間もない時期に、後輩を指導する立場を任されました。指導する側になったからといって、判断がすぐに迷いなくできるようになるわけではありません。それでも、迷ったときにどう向き合うかが分かってきたことで、今は落ち着いて仕事と向き合えています。
この記事では、指導する立場になって直面した3つの場面と、そこから大切にするようになった姿勢を書きます。
認定調査に携わる立場からの個人的な経験に基づいています。所属先の見解ではありません。個人が特定されないよう、内容の一部を変更しています。
目次
- 指導役になったときに気づいたこと
- その1:部分支援・全面支援の判断 ― 頼りになるのはテキスト
- その2:本人だけの聞き取りが長引いたとき ― 答えと様子が一致しないとき
- その3:支援者からの厳しい声 ― そこから学んだこと
- 最後に
指導役になったときに気づいたこと
認定調査の仕事は、経験を重ねるほど判断に迷わなくなっていくものだと、担当する前は思っていました。
けれど実際には、まだ経験が浅いと感じているうちに後輩の指導を任されることになり、最初は戸惑いました。自分自身、判断に絶対の自信を持てているわけではなかったからです。
「教える立場になったから、迷いがなくなる」わけではありません。むしろ、自分がどう判断しているのかを言葉にして伝える必要が出てきて、これまであいまいにしていた部分と丁寧に向き合うきっかけになりました。
その1:部分支援・全面支援の判断 ― 頼りになるのはテキスト
認定調査の中で、特に判断に時間をかけるのが「部分支援」と「全面支援」の線引きです。
テキストやQ&Aを読んでも、境界線がはっきりしないケースは実際に存在します。「これくらいならまだ部分支援なのか、それとももう全面支援なのか」——即答できないことは、今でもあります。
だからこそ大切にしているのは、感覚だけで判断せず、そのつどテキストを確認し直すことです。経験年数に関係なく、判断に迷ったらテキストに立ち返る。それが、自分の中でいちばん信頼できるやり方だと思っています。
後輩に指導するときも、「慣れれば感覚で分かるようになる」とは伝えないようにしています。むしろ「迷ったらテキストを見返す」という姿勢そのものを伝えるようにしています。これは手を抜いているのではなく、正確な判断のために欠かせない手順だと考えているからです。
その2:本人だけの聞き取りが長引いたとき ― 答えと様子が一致しないとき
聞き取りの時間が、想定より大きく延びることもあります。以前、本人だけへの聞き取りが、予定していた時間を大きく超えたことがありました。
理由はいくつかありました。
- 本人は「できる」と答えるが、様子を見ている限り実際には難しそうに見え、その確認に時間をかけた
- 質問に対する直接の答えがないまま、本人が話したいことを一方的に話し続ける場面があった
こうした場面から学んだのは、本人の答えだけを鵜呑みにせず、様子や表情もあわせて確認することの大切さです。そして、答えと様子が一致しないと感じたときは、その場に支援者がいれば、支援者からも聞き取るようにしています。
本人の自己申告だけで判断してしまうと、実態とずれた結果になりかねません。時間はかかっても、複数の情報源を確認することが、結果的に正確な判断につながると実感しています。
その3:支援者からの厳しい声 ― そこから学んだこと
指導する立場になっても、うまく対応できなかった場面もあります。
ある支援者の方から、対応の速さについて厳しいお言葉をいただいたことがありました。そのときは十分な説明ができず、まずお詫びをお伝えすることしかできませんでした。
すべてのやりとりが、その場できれいに解決するわけではありません。けれど、この経験があったからこそ、今は調査の進め方や見通しを、できるだけ早い段階で支援者の方にも共有するよう意識するようになりました。うまく説明できなかった悔しさが、その後の仕事の仕方を見直すきっかけになったのだと思っています。
最後に
指導役になったからといって、判断にすぐ迷わなくなるわけでも、すべてのやりとりに最初から落ち着いて対応できるようになるわけでもありませんでした。
- 部分支援・全面支援の判断は、今もテキストを確認しながら進めている
- 本人の答えと様子が一致しないときは、支援者からも聞き取るようにしている
- 厳しいお言葉をいただいた経験は、進め方を見直すきっかけになった
もし今、後輩指導を任されて戸惑っている方がいたら、「迷わなくなること」を目指さなくていいと伝えたいです。迷ったときにテキストに立ち返ること、複数の情報源を確認すること、そしてうまくいかなかった経験を次に活かすこと。それを積み重ねていくことが、指導する立場としての自信につながっていくのだと、今は思っています。


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