認定調査員マニュアルは、最初から最後まで通読して覚えるための本ではありません。実務で迷ったときに、必要な箇所をすぐ開けるように、全体の構成を知っておくことの方が役に立ちます。この記事では、マニュアルがどんな構成になっていて、どこを見ればよいのかを整理します。
認定調査に携わる立場からの個人的な経験と、公表されている制度資料にもとづいています。所属先の見解ではありません。運用の細部は自治体によって異なる場合があります。
マニュアルの全体構成
厚生労働省が公開している認定調査員マニュアルは、大きく分けると次の4つの構成になっています。
- 障害支援区分の概要(制度がどんな考え方で作られているかの説明)
- 認定調査の実施及び留意点(調査の基本原則、日程・実施場所の調整、医師意見書との関係など)
- 各調査項目ごとの判断基準(80項目それぞれについて、選択肢の考え方や留意点)
- 概況調査票・認定調査票の様式
実務でもっともよく開くことになるのは、「各調査項目ごとの判断基準」の部分ですが、それ以外の部分にも実務で役立つ内容がまとまっています。
制度の考え方を説明する「概要」部分
マニュアルの冒頭には、障害支援区分がどのような経緯で作られ、どんな基準にもとづいているかがまとめられています。ここは、調査そのもののやり方を確認したいときよりも、「なぜこの調査項目があるのか」「なぜこの判定方法になっているのか」を理解したいときに読む部分です。
新人のうちは読み飛ばしがちですが、判断に迷ったときに立ち返ると、選択肢の考え方の背景が見えてくることがあります。
「実施及び留意点」―調査そのものの進め方が書かれた部分
意外と見落とされがちなのが、調査の進め方そのものについてまとめられた部分です。1名の調査対象者につき1名の調査員が調査を行うといった基本原則のほか、対象者や家族と日程を調整する際の考え方、実施場所を選ぶ際の留意点、医師意見書との関係性などがまとめられています。
急な病状の変化などで適切な調査が行えないと判断したときにどう対応するか、施設や病院で調査を行う際にどんな点に配慮するかといった内容も、この部分に含まれています。項目ごとの判断基準を見る前に、まずここに目を通しておくと、調査全体の進め方のイメージがつかみやすくなります。
各調査項目の判断基準が書かれた部分
マニュアルの中心となるのが、80項目それぞれについて、選択肢をどう判断するかがまとめられた部分です。「部分的な支援が必要」と「全面的な支援が必要」の違いなど、実際の調査で判断に迷いやすいポイントについて、考え方が示されています。
この部分は、調査の前に通読するというより、実際の調査で迷った項目が出てきたときに、その項目のページだけを開いて確認する、という使い方が実務的です。
概況調査票・認定調査票の様式
マニュアルの末尾には、概況調査票や認定調査票の様式そのものが収められています。自治体によって実際に使用する様式は異なりますが、国が示す標準的な様式を確認しておくと、それぞれの項目がどのような形で記録されるのかをイメージしやすくなります。
なお、特記事項の具体的な書き方や記入例そのものは、マニュアル本文には多く収められていません。実際の書き方については、先輩調査員の記載を参考にしたり、自治体独自の手引きを確認したりしながら身につけていく部分になります。
マニュアル以外に確認しておきたい資料
マニュアル本文だけでは判断しきれない、より細かい事例については、「障害支援区分に関するQ&A」が別に公開されています。個別の状況についての疑問に答える形式になっているため、マニュアルで該当する記載が見つからないときは、こちらも確認してみる価値があります。
また、市町村審査会委員向けの資料にも、二次判定でどのように特記事項が扱われるかについての記載があり、調査員が特記事項を書くうえでの参考になります。
新人調査員へのおすすめの使い方
マニュアルは、通読して全部を頭に入れるものというよりは、「迷ったときに開く辞書」として使うのが現実的です。まずは全体の構成(概要・実施及び留意点・項目ごとの判断基準・様式)を大まかに把握しておき、実際の調査で迷った項目が出てきたら、その都度、該当ページを確認する。この繰り返しの中で、少しずつ内容が身についていきます。
最後に
認定調査員マニュアルは、覚える対象というより、使いこなす対象です。どこに何が書いてあるかを知っておくだけでも、実際の調査で迷ったときの対応スピードが変わってきます。まずは目次を眺めて、全体の地図を頭に入れておくところから始めてみるとよいと思います。
参考:障害支援区分 認定調査員マニュアル(厚生労働省、平成26年4月版)
新人調査員が最初に迷いやすいポイントについては、こちらの記事もあわせてどうぞ。 → 〔障害支援区分の認定調査、新人調査員が最初に迷うポイント―マニュアルだけでは埋まらない部分〕
認定調査で使う書式・ツール全体の整理は、こちらで解説しています。 → 〔認定調査で使う書式・ツールとは―認定調査票・概況調査票・マニュアルの役割を整理する〕


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