認定調査に携わる立場からの個人的な経験と、公表されている制度資料にもとづいています。所属先の見解ではありません。個人が特定されないよう、内容の一部を変更しています。制度や運用の細部は、自治体によって異なる場合があります。
これまで親御さんが中心となって支えてきたご本人の生活も、親御さん自身の高齢化にともなって、少しずつ支援の形を見直す必要が出てくることがあります。
ただ、これまでの生活を突然変えることは、ご本人にとって大きな負担になる場合があります。
そのため、支援を一度に切り替えるのではなく、少しずつ支援の担い手を増やし、重ねていくイメージで進めることが大切なのではないかと感じています。
認定調査で気づく、親の高齢化のサイン
親御さんの高齢化に気づくきっかけは、聞き取りの中での親御さんご自身の話や、住環境の様子、ご本人の状態の変化など、さまざまです。
以前と比べて住まいの管理や日常生活の支援が難しくなっていたり、ご本人の様子に変化が見られたりすることから、支援の形を見直す必要性に気づく場合があります。
もちろん、調査の場面だけでご家族の状況を判断できるわけではありません。ご本人やご家族からお話を伺う中で、これからの生活について一緒に考える必要があるのではないかと感じることがあります。
支援につながるまでの2つのパターン
親御さんが自ら「支援を受けたい」「今後のことを相談したい」と声を上げられる場合は、相談支援専門員や関係機関につながるきっかけが生まれやすくなります。
一方で、これまでご家族だけで生活を支えてきた場合や、相談先が分からない場合など、外部に相談することが難しいケースもあります。そのようなときには、地域包括支援センターの職員や民生委員など、地域の関係者が変化に気づき、相談につながるきっかけをつくることもあります。
地域包括支援センターは、主に高齢者やそのご家族の介護・福祉・健康などに関する相談窓口です。親御さんの生活や介護に関する相談を通して、必要な支援につながる場合があります。
また、ご本人の障害福祉サービスについては、相談支援専門員や市区町村の障害福祉担当窓口などにも相談できます。
ご家族からよく聞く不安の声
このような場面では、次のような声を聞くことがあります。
- 「高齢になって、いつまで支援できるか分からない」
- 「自分の体力に不安がある」
- 「本人の将来が心配」
- 「自分がいなくなった後のことを考えてしまう」
長年にわたってご本人の生活を支えてきたからこそ、その先の見通しに不安を感じるのだと思います。
ご家族が担ってきた役割は、生活面の支援だけではありません。ご本人のことをよく理解し、安心できる環境を維持する役割も含まれている場合があります。
だからこそ、支援を外部につなぐときには、ご家族が大切にしてきたことや、ご本人が安心して過ごせる方法を丁寧に共有することが重要なのではないかと感じます。
少しずつ、支援を重ねていくという考え方
親御さんが長年担ってきた役割を、ある日突然サービスや支援者に切り替えることは、ご本人にとって大きな環境の変化になる場合があります。
そこで、できることから少しずつ支援の担い手を増やしていく方法が考えられます。例えば、
- 相談支援専門員に今後の生活について相談する
- 必要に応じて障害福祉サービスの利用を検討する
- 親御さんの介護や健康について地域包括支援センターに相談する
- ご本人が新しい支援者やサービスに慣れる時間をつくる
- ご家族が担ってきた支援内容を関係者間で共有する
すべてを一度に始める必要はありません。ご本人の状態や希望、ご家族の状況に合わせて、無理のない範囲で支援を重ねていくことが大切です。
親御さんの役割をすぐに手放すのではなく、支援者と一緒に担う形へ少しずつ変えていく。そのような移行が、ご本人にとっても親御さんにとっても、安心につながるのではないかと思います。
最後に
親御さんの高齢化は、これまでご家族だけで対応してきた生活を、少しずつ見直すタイミングになることがあります。
外部の支援を利用することは、ご家族が支援を諦めることでも、ご本人を家族から切り離すことでもありません。これまで家族が担ってきた役割を、相談支援専門員やサービス、地域の関係機関などと一緒に支えていくための一歩です。
親御さんの体力や健康に不安を感じたとき、ご本人の将来が心配になったときには、早めに相談先を探しておくことをおすすめします。
支援は、一度に切り替えるものではなく、少しずつ重ねていくもの。ご本人とご家族がこれからも安心して生活できるように、今できることから準備を始めてみてはいかがでしょうか。
参考:障害のある人に対する相談支援について(厚生労働省)/地域包括ケアシステム(厚生労働省)
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