認定調査に携わる立場からの個人的な経験と、公表されている制度資料にもとづいています。所属先の見解ではありません。内容の一部は、個人が特定されないよう変更しています。制度や運用の細部は、自治体によって異なる場合があります。
難病の診断を受けている方の中には、身体障害者手帳などを持っていないことから、「障害福祉サービスは利用できないのではないか」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、障害者総合支援法では、対象となる難病等が障害者の範囲に含まれています。対象疾病に該当し、日常生活などで支援が必要な状態であると認められれば、手帳を持っていなくても障害福祉サービスを利用できる場合があります。
また、難病のある方の認定調査では、症状の変動や外見からは分かりにくい困難などを踏まえた聞き取りが重要になります。
難病等でも、障害福祉サービスの対象になる
障害者総合支援法では、対象となる難病等が障害者の定義に含まれています。そのため、身体障害者手帳や療育手帳、精神障害者保健福祉手帳を持っていない場合でも、対象疾病に該当し、必要な支援が認められれば、障害福祉サービスを利用できる可能性があります。
ただし、対象疾病に該当することだけで、すべてのサービスを利用できるわけではありません。サービスの種類や利用条件、必要な支援の程度などに応じて、自治体での確認や手続きが必要になります。
対象疾病の範囲は、制度の見直しによって変更されることがあります。最新の対象疾病一覧は、厚生労働省のホームページで確認できます。
「自分の病気は対象になるのだろうか」と心当たりのある方は、まず対象疾病に含まれているかを確認し、市区町村の担当窓口などに相談してみることをおすすめします。
認定調査で配慮されること
厚生労働省は、難病等のある方の認定調査に関するマニュアルを示しています。
難病等には、外見からは分かりにくい疲れやすさや痛み、倦怠感などの症状が見られる場合があります。また、症状が日によって変化したり、時間帯によって状態が異なったりすることもあります。
そのため、調査当日の様子だけで判断するのではなく、ご本人が日常生活で困っていることや、症状が変化したときの状態などを具体的に聞き取ることが重要です。例えば、次のような点を確認します。
- 日常生活の中で困っていることや不自由なこと
- 動作に時間がかかる場面
- 症状が悪いときの生活の様子
- 症状が変化する頻度や期間
- 家族や支援者が普段どのように支援しているか
ご本人の外見や調査当日の状態だけでは、日常生活上の困難を十分に把握できない場合があります。そのため、普段の生活の様子を具体的に確認することが大切になります。
「良い日」「悪い日」、どちらを基準に聞き取るか
難病等の症状には、日によって変化するものや、1日の中で変動するもの、季節や天候によって変化するものなどがあります。調査当日が比較的体調の良い日だったとしても、その日の状態だけでは、普段の生活上の困難を十分に把握できない場合があります。
私自身は、まだ難病の方の認定調査を直接担当した経験はありません。ただ、症状に変動がある方の調査では、状態が変化することを踏まえ、次のような点を意識して聞き取りを進めています。
- 状態が悪いときには、どのようなことが難しくなるのか
- どの程度の頻度で症状が変化するのか
- 症状が悪いとき、実際にはどのように生活しているのか
- 家族や支援者から、普段の様子を確認できるか
難病等の認定調査では、単に「できる」「できない」だけでなく、症状の変動や、支援が必要になる状態を含めて、具体的に把握することが大切になります。
「障害」という言葉への向き合い方
これまでの調査の中で、「調査員としてではなく、普通の人として来てほしい」と言われたことがあります。難病の方に限った話ではありませんが、「障害」という言葉や、調査を受ける立場に抵抗を感じる方もいらっしゃいます。
そのような場合も、病名や制度上の区分だけに注目するのではなく、ご本人が日常生活でどのようなことに困っているのかを丁寧に聞くことを大切にしています。
調査では、外から見える状態だけでは分からない困難があることもあります。ご本人の言葉に耳を傾け、必要に応じてご家族や支援者からも情報を得ながら、生活の実態を把握していくことが重要だと感じています。
最後に
難病の診断を受けていても、手帳がないことを理由に、福祉サービスの利用をあきらめてしまう方がいらっしゃるかもしれません。しかし、対象疾病に該当する場合には、手帳を持っていなくても利用を検討できる障害福祉サービスがあります。
利用できる制度や手続きは、疾病の状態や必要な支援、自治体の運用などによって異なります。「利用できるサービスがあるか知りたい」「手帳はないけれど生活に困難がある」という方は、市区町村の担当窓口や難病相談・支援センターなどに相談してみてください。
認定調査では、調査当日の様子だけでなく、症状の変動や日常生活での困難を具体的に確認することが大切です。難病等のある方が必要な支援につながるための一つの過程として、調査の場でもご本人の生活の様子を丁寧に把握していきたいと考えています。
参考:障害者総合支援法の対象疾病(難病等)について(厚生労働省)
関連記事リンク


コメント