居宅介護とは ― 身体介護・家事援助・通院等介助、4つの支援を整理する
「居宅介護」は、障害福祉サービスの中でも、多くの方が利用している訪問系サービスの一つです。
「ホームヘルプ」とも呼ばれ、区分1以上であれば利用を検討できる、比較的間口の広いサービスです。
この記事では、居宅介護がどのような支援で構成されているのかを整理します。
認定調査に携わる立場からの個人的な経験と、公表されている制度資料にもとづいています。所属先の見解ではありません。運用の細部は自治体によって異なる場合があります。
居宅介護とは、どんなサービスか
ホームヘルパーが自宅を訪問し、日常生活に必要な支援を行うサービスです。障害者総合支援法にもとづく、訪問系サービスの基本的なサービスの一つといえます。
対象は、障害支援区分1以上と認定された方です。障害児の場合は、これに相当する状態の方が対象となります。
重度訪問介護の区分4以上、行動援護の区分3以上などと比べると、比較的低い区分から利用を検討できるサービスです。
居宅介護は、4つの支援で構成されています
「居宅介護」という一つのサービスの中には、実は次の4つの支援があります。
◆身体介護
入浴、排せつ、食事など、利用者の身体に直接関わって行う介護です。
◆家事援助
調理、洗濯、掃除、生活必需品の買い物など、日常生活に必要な家事を援助します。
◆通院等介助
病院への通院や、官公署での手続きなど、外出時に必要な介助を行います。身体介護を伴う場合と、伴わない場合があります。
◆通院等乗降介助
ヘルパーが運転する車で通院する際に、乗車・降車の介助や、その前後の移動、受診に必要な支援などを一連で行うものです。
同じ「居宅介護」というサービスでも、生活のどの場面を支えるのかによって、利用する支援の種類が変わってくると考えると、分かりやすいと思います。
「通院等介助(身体介護を伴う場合)」だけ、少し条件が違います
ここは、あまり知られていないポイントです。
家事援助や身体介護、身体介護を伴わない通院等介助などは、基本的に区分1以上の方が利用を検討できます。一方で、通院等介助のうち「身体介護を伴う場合」には、追加の条件があります。
- 障害支援区分が区分2以上であること
- 認定調査項目のうち、次のいずれか一つ以上に該当していること
- 「歩行」が全面的な支援を要する
- 「移乗」に見守り等・部分的な支援・全面的な支援のいずれかを要する
- 「移動」に見守り等・部分的な支援・全面的な支援のいずれかを要する
- 「排尿」に部分的な支援または全面的な支援を要する
- 「排便」に部分的な支援または全面的な支援を要する
つまり、「通院に付き添ってほしい」という同じニーズでも、身体面の介助が必要かどうかによって、利用できる支援の条件が変わるということです。
重度訪問介護との違い
以前の記事で紹介した重度訪問介護と居宅介護は、どちらも訪問系のサービスですが、対象となる方や支援の内容が異なります。
居宅介護は、区分1以上から利用を検討できるのに対し、重度訪問介護は、区分4以上であることに加えて、身体面または行動面の具体的な要件を満たす必要があります。
必要な支援が生活の一部にある場合には居宅介護、より重度で、長時間にわたって生活全般の支援が必要な場合には重度訪問介護が検討される、という違いがあります。ただし、実際にどのサービスを利用するかは、障害の状態や生活状況、支給決定の内容などによって異なります。
調査員として、意識していること
居宅介護は利用する方の幅が広いため、「どのような支援が必要なのか」を、生活の場面ごとに分けて確認することを意識しています。
たとえば、「通院の付き添いがほしい」という一言でも、車の乗り降りに介助が必要なのか、院内での移動に介助が必要なのか、待ち時間に見守りが必要なのかによって、必要となる支援の内容は異なります。
「通院が大変」という結果だけではなく、どの場面で、どのような支援が必要なのかを具体的に伝えていただくことが、実情に合った支援につながります。
最後に
居宅介護は、身体介護・家事援助・通院等介助・通院等乗降介助という、複数の支援で構成されているサービスです。
区分1以上から利用を検討でき、日常生活のさまざまな場面を支えてくれます。ただし、通院等介助のうち身体介護を伴う場合には、追加の要件がある点には注意が必要です。
「自分の場合、どの支援が利用できるのか分からない」という場合は、まずお住まいの市町村や相談支援専門員に相談してみてください。
参考:平成20年4月以降における通院等介助の取扱いについて(厚生労働省)
重度訪問介護との違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。 → 〔重度訪問介護とは―区分4以上の中でも、対象になるかの分かれ目〕
区分ごとに使えるサービスの全体像は、こちらにまとめています。 → 〔区分ごとに使えるサービス一覧―「自分はどれが使えるの?」に答える早見表〕


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