重度訪問介護とは ― 区分4以上の中でも、対象になるかの分かれ目
区分ごとに使えるサービス一覧の記事で、「重度訪問介護は区分4以上、一定の要件あり」と紹介しました。
この「一定の要件」が、実は重度訪問介護のいちばん分かりにくい部分です。
この記事では、対象となる方の要件を、認定調査との関わりを中心に整理します。
認定調査に携わる立場からの個人的な経験と、公表されている制度資料にもとづいています。所属先の見解ではありません。運用の細部は自治体によって異なる場合があります。
重度訪問介護とは、どんなサービスか
重度の肢体不自由、または重度の知的障害・精神障害により行動上著しい困難があり、常時介護を必要とする方を対象としたサービスです。
身体介護、家事援助、外出時の移動中の介護、そして見守り等の支援まで、生活全般にわたる支援を、比較的長時間にわたって総合的に受けられるのが特徴です。
訪問系のサービスの中でも、特に支援の必要性が高い方を対象としたサービスの一つです。
区分4以上であることに加えて、もう一つ条件があります
重度訪問介護の対象となる方は、障害支援区分4以上であることに加えて、次のいずれかに当てはまる必要があります。
パターン1:重度の肢体不自由がある方
- 二肢以上(両手・両足のうち2か所以上)に麻痺等があること
- 認定調査項目のうち「歩行」「移乗」「排尿」「排便」のいずれも、「支援が不要」以外と認定されていること
パターン2:重度の知的障害・精神障害により、行動上著しい困難がある方
- 認定調査項目のうち「行動関連項目等(12項目)」の合計点数が10点以上であること
パターン2の「行動関連項目等」は、以前の記事で紹介した行動援護の要件と同じ項目群です。
つまり、重度訪問介護では、区分4以上であることに加えて、身体面または行動面に関する具体的な条件も確認される仕組みになっています。
なぜ、区分4以上だけでは足りないのか
障害支援区分は、必要とされる支援の度合いを総合的に示すものです。一方で、重度訪問介護は、比較的長時間にわたり、生活全般にわたる支援を総合的に提供するサービスです。
そのため、区分の数字だけではなく、具体的にどのような状態にあり、どのような支援が必要なのかという条件も、追加で設けられています。パターン1の、「歩行・移乗・排尿・排便のいずれも『支援が不要』以外であること」という要件は、その代表的な例です。
調査員として、ここで意識していること
パターン1に関わる「歩行」「移乗」「排尿」「排便」は、通常の認定調査でも確認する項目です。
ただ、重度訪問介護の利用を検討している方の場合は、この4項目について、実際の生活の中でどのような支援が必要になっているのかを、より丁寧に確認することが大切だと感じています。
たとえば、「排尿は自分でできる」という言葉だけで終わらせず、トイレまでの移動はどうか、衣服の着脱はどうか、夜間はどうか、といった生活場面も含めて確認することで、その方の実際の状況をより正確に把握しやすくなります。
もちろん、認定調査ではそれぞれの項目について定められた定義にもとづいて判断します。だからこそ、「できる・できない」という一言だけではなく、どのような場面で、どの程度の支援が必要なのかを具体的に伝えることが大切になります。
入院・入所中の利用について
もう一点、知っておくとよいことがあります。
重度訪問介護は本来、居宅での生活を支える訪問系サービスですが、一定の条件を満たす場合には、病院等への入院・入所中にも利用できる仕組みがあります。
現在は、障害支援区分4以上で、入院・入所前から重度訪問介護を利用していた方などについて、本人をよく知る重度訪問介護従業者による意思疎通の支援などが認められています。
ただし、入院・入所中に通常の重度訪問介護と同じ内容をそのまま利用できるという意味ではありません。利用できる支援の内容や条件には細かな決まりがあります。
入院・入所を控えている場合は、早めに市町村や相談支援専門員、利用している重度訪問介護事業所に確認しておくことをおすすめします。
最後に
重度訪問介護は、障害支援区分4以上であれば、誰でも利用できるサービスではありません。
区分4以上であることに加えて、身体面または行動面に関する具体的な要件を満たしていることが必要になります。
「区分4以上だから使えるはず」と思っていても、追加の要件を満たしていないケースもあります。一方で、認定調査の結果だけを見て、自分で対象かどうかを判断するのが難しいこともあります。
利用を検討している場合は、まず相談支援専門員や市町村の窓口に相談し、ご自身が対象となるか確認してみてください。
行動関連項目等については、こちらの記事で詳しく解説しています。 → 〔行動援護とは―「行動関連項目等」が、認定調査でどう関わってくるのか〕
区分ごとに使えるサービスの全体像は、こちらにまとめています。 → 〔区分ごとに使えるサービス一覧―「自分はどれが使えるの?」に答える早見表〕


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