相談支援専門員が行う「アセスメント」は、障害支援区分を判定するためのものではありません。サービス等利用計画を作成するために、本人の生活全体を理解するための聞き取りです。この記事では、このアセスメントがどのようなもので、認定調査とは何が違うのかを整理します。
認定調査に携わる立場からの個人的な経験と、公表されている制度資料にもとづいています。所属先の見解ではありません。運用の細部は自治体・事業所によって異なる場合があります。
アセスメントの目的―サービス等利用計画の土台をつくる
相談支援専門員は、サービス等利用計画(障害児の場合は障害児支援利用計画)を作成する前に、利用者本人や家族と面談し、アセスメントを行います。ここで確認するのは、心身の状況、置かれている環境、日常生活の状況などです。こうした情報を通して、本人が自立した生活を送るうえで解決すべき課題や、必要な支援を整理していきます。
つまりアセスメントは、区分を判定するための材料を集めるものではなく、「この人がどんな生活を送りたいのか」「そのために何が必要なのか」を整理するための出発点です。
どんなことを聞かれるのか
アセスメントで確認される内容は多岐にわたります。一般的には、次のような項目が含まれます。
- 氏名・生年月日・住所などの基本情報
- 障害に関する情報
- 家族の状況
- 福祉サービスなどの利用状況
- 医療に関する状況
- 社会参加の状況
- 日中活動の状況
- 生活環境
- 本人の希望
このように、認定調査が「どれだけの支援が必要か」という点を中心に確認するのに対し、相談支援専門員によるアセスメントは、本人の生活全体を幅広く見渡す聞き取りになっているのが特徴です。
認定調査との違い
認定調査は、障害支援区分を判定するための調査で、聞き取る内容も80項目に沿って定められています。一方、相談支援専門員によるアセスメントでは、一定の項目や様式をもとにしながらも、本人の生活状況や希望に応じて、より幅広い視点から情報を整理します。
区分認定の結果は、サービス等利用計画を検討する際の情報の一つとして参考にされますが、アセスメントそのものが区分を左右するわけではありません。両者は、似たような聞き取りを行う場面があっても、目的の異なる別の手続きです。
自己選択・自己決定を支える視点
相談支援専門員によるアセスメントで大切にされるのが、本人の自己選択・自己決定を支えるという考え方です。相談支援専門員は、本人の状況や希望を整理したうえで、利用できるサービスや支援の選択肢を一緒に検討します。そのうえで、本人が自分らしい生活を選んでいけるよう支援します。
また、自分の意思をうまく伝えることが難しい方に対しては、その思いや希望をくみ取り、必要に応じて代弁するという視点(アドボカシー)も大切になります。アセスメントは、本人の声や希望を、できるだけそのまま支援や計画に反映させるための土台でもあります。
アセスメント後の流れ
アセスメントで把握した本人の状況や課題、希望などをもとに、相談支援専門員はサービス等利用計画案を作成します。その後、本人の意向を確認しながら内容を調整し、サービスの支給決定などの手続きを経て、サービス等利用計画が作成されます。計画が作成された後も、一定期間ごとにモニタリングが行われ、実際の生活と計画が合っているか、必要な見直しがないかを確認していきます。
調査員として伝えたいこと
認定調査とアセスメントは別のものですが、どちらも「今の生活で何に困っているか」を聞くという点では、重なる部分があります。認定調査で聞かれたことと似た内容を、相談支援専門員からも聞かれることがあります。しかし、それぞれ集めた情報は違う目的のために使われています。
「また同じことを聞かれた」と感じることがあるかもしれませんが、認定調査では区分を判定するために、アセスメントではこれからの生活や支援を考えるために聞いている、という違いがあります。
最後に
相談支援専門員によるアセスメントは、区分を決めるためのものではなく、これからどんな生活を送りたいか、そのためにどんな支援が必要かを一緒に整理するための聞き取りです。認定調査とは役割が異なることを知っておくと、それぞれの場面で何を確認しているのかが分かりやすくなります。
似たような質問を受けることがあっても、それぞれに違う目的があります。その違いを知っておくだけでも、手続きの中で感じる戸惑いを少し減らせるかもしれません。
サービス等利用計画については、こちらの記事で詳しく解説しています。 → 〔区分が決まっても、それだけでは終わらない―サービス等利用計画とは〕
認定調査とアセスメント全体の整理については、こちらもあわせてどうぞ。 → 〔認定調査とアセスメントは何が違うのか―混同しやすい「調べる」場面を整理する〕
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