行動援護とは ― 「行動関連項目等」が、認定調査でどう関わってくるのか

障害福祉サービス解説

行動援護とは ― 「行動関連項目等」が、認定調査でどう関わってくるのか

区分ごとに使えるサービス一覧の記事で、「行動援護は区分3以上で、かつ行動関連項目等の合計が一定以上」という条件を紹介しました。

この記事では、行動援護がどのようなサービスなのか、そして「行動関連項目等」が認定調査の中でどのように扱われているのかを、認定調査に携わる立場から整理します。

認定調査に携わる立場からの個人的な経験と、公表されている制度資料にもとづいています。所属先の見解ではありません。運用の細部は自治体によって異なる場合があります。


行動援護とは、どんなサービスか

行動援護は、知的障害または精神障害により行動上著しい困難があり、常時介護を必要とする方を対象としたサービスです。

主な支援内容は、次のようなものです。

  • 行動する際に生じ得る危険を回避するために必要な援護
  • 外出時における移動中の介護(外出前後の着替えの介助を含む)
  • 排せつおよび食事等の介護、その他の行動する際に必要な援助

一人で行動すると危険が生じやすい方に対して、その方の特性を理解した支援者が、起こり得る危険を予測しながら必要な支援を行う、というイメージのサービスです。援助を行う従業者には、必要な研修の修了や、一定の実務経験などが求められる場合があります。


利用の条件は、2つです

行動援護を利用するには、次の2つの条件を満たす必要があります。

1. 障害支援区分が区分3以上であること

2. 障害支援区分の認定調査項目のうち、「行動関連項目等(12項目)」の合計点数が10点以上であること(障害児の場合は、これに相当する支援の度合いが基準となります)

区分の数字だけでなく、認定調査の中の特定の項目群である「行動関連項目等」の点数も、利用要件に関わっていることがポイントです。


「行動関連項目等」とは、具体的に何を指すのか

行動関連項目等は、認定調査の80項目のうち、次の12項目を指します。

  • コミュニケーション
  • 説明の理解
  • 大声・奇声を出す
  • 異食行動
  • 多動・行動停止
  • 不安定な行動
  • 自らを傷つける行為
  • 他人を傷つける行為
  • 不適切な行為
  • 突発的な行動
  • 過食・反すう等
  • てんかん発作の頻度(これのみ、医師意見書にもとづいて評価されます)

それぞれの項目は、定められた基準に沿って点数化され、その合計が10点以上になるかどうかが、行動援護の対象要件の一つになります。


調査員として、ここを丁寧に聞き取る理由

この12項目は、特別な場面だけで確認するものではなく、通常の認定調査の聞き取りの中に含まれている項目です。

ただ、行動援護の利用を検討している方にとっては、この12項目の内容がサービスの利用要件にも関わるため、生活の実情を丁寧に確認することが重要になります。

たとえば、「不安定な行動」や「突発的な行動」は、調査当日にたまたま見られなかったとしても、普段どのくらいの頻度で起きているのかを確認する必要があります。これは、他の記事でも触れてきた「今日はどうか」ではなく、「普段はどうか」という視点そのものです。

行動援護の利用を検討している場合は、この12項目に関わる場面について、具体的な出来事や頻度とともに伝えていただくことが、生活の実情をより正確に認定調査へ反映することにつながります。たとえば、

  • 外出時にどのような危険な行動があるのか
  • 不安定な状態がどのくらいの頻度で起きるのか
  • 自傷や他害がある場合、どのような場面で起きるのか

といった具体的な状況を伝えることで、調査員も生活の様子を把握しやすくなります。


似ているサービス「移動支援」との違い

行動援護とよく比較されるのが、移動支援というサービスです。

大きな違いは、行動援護が障害福祉サービスとして国の制度にもとづいて位置づけられているのに対し、移動支援は市町村が実施する地域生活支援事業であるという点です。

行動援護の対象要件である「区分3以上」「行動関連項目等10点以上」を満たさない場合でも、移動支援であれば利用できることがあります。「行動援護の対象にならなかったから、外出の支援は受けられない」というわけではありません。

移動支援の利用条件や支援内容は市町村によって異なるため、お住まいの自治体の基準もあわせて確認してみてください。


最後に

行動援護は、行動面に著しい困難のある方の外出や日常生活を支える、専門性の高いサービスです。

利用の条件には、障害支援区分だけでなく、「行動関連項目等」という認定調査の中の特定の項目群も関わっています。普段の行動面の様子を、具体的な出来事や頻度とともに伝えることが、生活の実情を認定調査により正確に反映することにつながります。

行動援護の対象にならない場合でも、移動支援など、ほかの選択肢が利用できることがあります。まずは、お住まいの市町村や相談支援専門員に相談してみてください。

参考:障害福祉サービスの内容(厚生労働省)


区分ごとに使えるサービスの全体像は、こちらにまとめています。 → 〔区分ごとに使えるサービス一覧―「自分はどれが使えるの?」に答える早見表〕

障害支援区分の認定調査そのものの流れは、こちらにまとめています。 → 〔障害支援区分の認定調査―調査員は何を見て、どう記録しているのか〕

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