同行援護とは ― 実は、障害支援区分の認定が不要なことがあります
これまで紹介してきた行動援護、重度訪問介護、居宅介護は、いずれも障害支援区分の認定を前提とするサービスでした。
でも、同行援護は少し違います。支援の内容によっては、障害支援区分の認定そのものが必要ありません。
この記事では、視覚障害のある方の外出を支える同行援護について整理します。
認定調査に携わる立場からの個人的な経験と、公表されている制度資料にもとづいています。所属先の見解ではありません。運用の細部は自治体によって異なる場合があります。
同行援護とは、どんなサービスか
視覚障害により移動に著しい困難がある方に対して、外出時に同行し、必要な支援を行うサービスです。
支援の内容は、大きく3つに分けられます。
- 移動の援護——安全な誘導や、危険を回避するための支援
- 移動時や外出先で必要となる視覚的情報の支援——代筆・代読を含め、周囲の状況や標識、価格表示などを言葉で伝える支援
- 排せつ・食事等の介護、その他の外出時に必要な援助
単に付き添って歩くだけでなく、**「見えている人には当たり前に入ってくる情報を、言葉にして伝える」**という役割が大きいのが、同行援護の特徴です。
障害支援区分の認定が不要な場合があります
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいポイントです。
身体介護を伴わない同行援護を利用する場合は、障害支援区分の認定を必要としません。
その代わりに使われるのが、**「同行援護アセスメント調査票」**という、同行援護専用の調査票です。次の2つの条件を、両方満たしているかによって判定されます。
- 「視力障害」「視野障害」「夜盲」のいずれかが1点以上
- 「移動障害」の点数が1点以上
つまり、障害支援区分の認定調査(80項目)とは別の仕組みで判定されるというのが、同行援護の大きな特徴です。
「身体介護を伴う場合」だけ、条件が加わります
一方で、入浴や食事の介助など、身体介護を伴う支援が必要な場合は、条件が少し変わります。この場合は、次の条件をすべて満たす必要があります。
- 同行援護アセスメント調査票の要件(視力障害等が1点以上、かつ移動障害が1点以上)
- 障害支援区分が区分2以上であること
- 障害支援区分の認定調査項目のうち、「歩行」「移乗」「移動」「排尿」「排便」のいずれか1つが、「支援が不要」以外と認定されていること
つまり、「外出時の情報支援や移動の援護だけであれば区分認定は不要。身体介護も必要な場合には、区分2以上と追加の要件が必要」という、2段階の仕組みになっています。
同行援護は、どんな場面で必要になる?
同行援護は、視覚障害のある方が外出するときに、移動や外出先での情報取得などについて必要な支援を行うサービスです。
段差や障害物の把握だけでなく、初めて訪れる場所での道順の確認、電車やバスの乗り換え時の案内表示の確認、駅員や店員とのやり取りなど、視覚情報を得ることが難しい場面で、移動や行動を支える支援が必要になることがあります。
たとえば、次のような場面です。
- 慣れない場所への外出
通院、役所での手続き、冠婚葬祭など - 交通量の多い道路の横断
- 券売機や案内板など、視覚情報を確認する必要がある場面
- 電車やバスを利用する際の乗り換え
- 初めて訪れる場所での移動や道順の確認
同行援護は、単に「一緒に歩いてもらう」ためのサービスではありません。
視覚情報を得ることが難しいことで生じる、外出時の困りごとを支えるサービスと考えると分かりやすいでしょう。
同行援護を利用できる条件(まとめ)
同行援護を利用するための条件は、身体介護を伴うかどうかによって異なります。
- 身体介護を伴わない場合:同行援護アセスメント調査票で、「視力障害」「視野障害」「夜盲」のいずれかが1点以上で、かつ「移動障害」が1点以上であること
- 身体介護を伴う場合:上記に加えて、障害支援区分が区分2以上であり、障害支援区分の認定調査項目のうち、「歩行」「移乗」「移動」「排尿」「排便」のいずれかが「支援が不要」以外と認定されていること
なお、これらの基準は、身体障害者手帳の視覚障害等級とは別のものです。手帳の等級と同行援護アセスメント調査票の点数は同じ基準で判定されるものではないため、手帳の等級だけで同行援護を利用できるかどうかを判断することはできません。
同行援護と障害支援区分の関係(まとめ)
同行援護は、障害支援区分の認定が必須ではないサービスです。身体介護を伴わない場合は、障害支援区分の認定を必要とせず、同行援護アセスメント調査票の基準によって対象者に該当するかが判断されます。一方、身体介護を伴う場合は、障害支援区分が区分2以上であることに加え、認定調査項目についても一定の基準を満たす必要があります。
つまり、「同行援護=障害支援区分が必要」ではありません。身体介護を伴うかどうかによって、障害支援区分の要否が変わることを押さえておくと分かりやすいでしょう。
同行援護を利用するときの注意点
同行援護を利用する際には、いくつか知っておきたい点があります。
- 原則として、利用前に申請・支給決定の手続きが必要です。 利用を考えている場合は、早めに市区町村へ相談しておくと安心です
- 対象外となる外出もあります。 通年かつ長期にわたる外出や、社会通念上適当でない外出などは、同行援護の対象外となります
- 担当するヘルパーには資格要件があります。 「同行援護従業者養成研修」を修了している必要があります
より詳しい内容は、同行援護アセスメント調査票についての記事でも解説しています。 → 〔同行援護アセスメント調査票とは〕
移動支援との違い
以前の記事で、行動援護と移動支援の違いについて触れましたが、同行援護にも、似たサービスとして移動支援があります。
| 同行援護 | 移動支援 | |
|---|---|---|
| 対象 | 視覚障害により移動に著しい困難がある方 | 視覚障害・肢体不自由・知的障害・精神障害など |
| 実施主体 | 国の制度 | 市町村が実施する地域生活支援事業 |
| 判定の方法 | 同行援護アセスメント調査票 | 市町村ごとの基準による |
視覚障害があり、同行援護の要件に当てはまらない場合でも、移動支援であれば利用できることがあります。また、移動支援の対象や利用条件は市町村によって異なるため、お住まいの自治体の基準もあわせて確認してみてください。
最後に
同行援護は、視覚障害のある方の「情報」と「移動」の両方を支えるサービスです。
そして、この記事でいちばん知っておいてほしいのは、**身体介護を伴わない場合には、障害支援区分の認定が必要ないという点です。**身体介護を伴う場合には、区分2以上と追加の要件が必要になります。
「障害支援区分の認定を受けていないから、障害福祉サービスは利用できない」と思い込まず、視覚障害によって外出に困難がある場合は、まず同行援護の対象になるかどうかを確認してみてください。
市町村の窓口や相談支援専門員に相談し、同行援護アセスメント調査票による判定が必要かどうかを確認するところから始めるとよいと思います。
行動援護と移動支援の違いについては、こちらの記事でも解説しています。 → 〔行動援護とは―「行動関連項目等」が、認定調査でどう関わってくるのか〕
区分ごとに使えるサービスの全体像は、こちらにまとめています。 → 〔区分ごとに使えるサービス一覧―「自分はどれが使えるの?」に答える早見表〕


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