障害福祉の手続きの中では、「認定調査」と「アセスメント」という言葉が、いくつかの異なる場面で出てきます。名前が似ているため混同されがちですが、それぞれ目的も、実施する人も異なります。この記事では、代表的な4つの「調べる」場面を整理します。
認定調査に携わる立場からの個人的な経験と、公表されている制度資料にもとづいています。所属先の見解ではありません。運用の細部は自治体によって異なる場合があります。
障害支援区分の認定調査―区分を判定するための調査
このブログで繰り返し取り上げてきた「認定調査」は、障害支援区分を判定するために、市町村から委託を受けた認定調査員などが行う調査です。80項目にわたる聞き取りと特記事項の記載をもとに、一次判定・二次判定を経て、最終的な障害支援区分が決まります。認定された区分は、介護給付にあたる障害福祉サービスを利用する際の基準の一つになります。
相談支援専門員によるアセスメント―生活全体の課題や希望を整理する
サービス等利用計画を作成する相談支援専門員も、本人や家族から話を聞く「アセスメント」を行います。ただし、こちらは障害支援区分を判定するためのものではありません。本人がどんな生活を望んでいるか、現在どのような課題があるか、どのサービスをどのように組み合わせれば生活が成り立つかを整理するためのものです。
同じ「聞き取り」でも、認定調査が障害支援区分を判定するためのものであるのに対し、相談支援専門員によるアセスメントは、生活全体の計画を立てるための土台づくりという違いがあります。
同行援護アセスメント調査票―見え方や具体的な支援内容を確認する
視覚障害のある方が利用する同行援護では、障害支援区分の認定調査とは別に、「同行援護アセスメント調査票」を用いて状態を確認する場合があります。ここでは、見え方の状態や、外出時にどのような支援が必要かを具体的に確認します。
同行援護は、障害支援区分の認定を受けていなくても利用できる場合があります。そのため、障害支援区分の認定調査を受けずに、同行援護アセスメント調査票による確認を経て、同行援護を利用するケースもあります。「認定調査を受けていないのにサービスを利用できる」という点は、他の介護給付のサービスと混同しやすいところです。
就労選択支援における就労アセスメント
以前の記事で紹介した就労選択支援でも、「就労アセスメント」という言葉が使われています。こちらは、就労移行支援や就労継続支援A型・B型などの利用を検討する際に、本人の強みや課題、必要な配慮などを整理するためのものです。障害支援区分の判定とは関係のない、「どのような働き方が本人に合っているか」を考えるためのアセスメントです。
なぜ、こんなに種類があるのか
これだけ「調べる」場面が分かれているのは、それぞれの制度が確認したい内容が違うためです。区分を判定したいのか、生活全体の計画を立てたいのか、外出時に必要な具体的な支援を確認したいのか、それとも本人に合った働き方を整理したいのか。目的が変われば、聞かれる内容も、担当する専門職も変わります。同じような質問をされることがあっても、それぞれ別の目的を持った聞き取りなのです。
調査員として伝えたいこと
「前にも同じようなことを聞かれた気がする」と感じる方に出会うことがあります。確かに、生活状況や困りごとについて聞くという点では、似たような内容が重なることもあります。ただ、それぞれの調査やアセスメントは目的が異なります。答える内容が重なることがあっても、同じことを何度も確認しているだけ、というわけではありません。
今受けている聞き取りが何のためのものなのか分からないときは、遠慮せずに、「これは何を決めるための聞き取りですか」と聞いてみるのも一つの方法です。目的が分かると、どのようなことを伝えればよいのかも、少し見えやすくなると思います。
最後に
認定調査、相談支援専門員によるアセスメント、同行援護アセスメント調査票、就労アセスメント。名前は似ていても、それぞれ目的や役割が異なります。「何を調べているのか」「その結果、何が決まるのか」を意識しておくと、今、自分が受けている聞き取りの意味が分かりやすくなります。余計な戸惑いを減らすためにも、「これは何のための聞き取りなのか」を意識してみるとよいでしょう。
認定調査全体の流れについては、こちらの記事で詳しく解説しています。 → 〔障害支援区分の認定調査―調査員は何を見て、どう記録しているのか〕
同行援護については、こちらもあわせてどうぞ。 → 〔同行援護とは―実は、障害支援区分の認定が不要なことがあります〕


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