概況調査票って何を書くもの? ― 記入前に知っておきたいこと
認定調査の日、調査員が最初に確認するのが概況調査票です。
「認定調査票(80項目)」とは別に、なぜこの書類があるのか。何を書けばよいのか。
この記事では、概況調査票の役割と、実際にどのような内容を記入するのかについて整理します。
認定調査に携わる立場からの個人的な経験と、公表されている制度資料にもとづいています。所属先の見解ではありません。運用の細部は自治体によって異なる場合があります。以下の記入例は説明のための一般的なもので、特定の方の記録ではありません。
まず結論から
概況調査票は、障害支援区分そのものの判定には使われません。
「それなら、書く意味があるの?」と思われるかもしれません。しかし、そうではありません。概況調査票は、支給決定の際に考慮される「勘案事項」の一つとして活用されます。
区分を決めるための書類である認定調査票・医師意見書と、支給決定の際に生活状況などを把握するための概況調査票。それぞれ役割の違う書類があると理解しておくと、記入するときに迷いにくくなります。
なお、概況調査票に記載する同居状況や介護者の状況は、それ単体で一次判定の結果を変更する直接の理由にはならないとされています。一次判定・二次判定がどのように行われるかについては、こちらの記事で詳しく整理しています。→〔一次判定・二次判定とは―区分はどうやって決まるのか〕
概況調査票には、何が書かれているのか
主に、次のような項目があります。
- 調査実施者(記入者)・調査対象者の基本情報
- 認定を受けている各種の障害等級等(身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳など)
- 現在受けているサービスの状況(サービスの利用状況)
- 地域生活関連(外出の頻度、社会活動への参加状況、入所・入院歴など)
- 就労関連事項
- 日中活動関連事項
- 介護者関連事項
- 居住関連事項
認定調査票の80項目が、心身の状態や日常生活上の状況について確認するものであるのに対して、概況調査票は、「今、どのような生活を送っているのか」という背景情報を整理する書類とイメージすると分かりやすいと思います。
なぜ、この情報が必要なのか
概況調査票の情報は、「当該障害者等の介護を行う者の状況」など、支給決定における勘案事項の一つとして活用されます。
たとえば、同じ区分の方であっても、一人暮らしなのか、家族と同居しているのか、日中は施設に通っているのかによって、実際に必要なサービスの内容や組み合わせは変わってきます。
区分という数字だけでは見えない生活の背景を補う情報として、概況調査票が使われます。
項目別の記入イメージ
実際に、どのような内容を記入するのか、項目ごとにイメージをお伝えします。
◆認定を受けている障害等級等
身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳など、お持ちの手帳の種類や等級・程度を記載します。手帳をお持ちでない場合は、その状況に応じて記載します。
◆現在受けているサービスの状況
現在利用している障害福祉サービス、介護保険サービス、医療的なサービスなどを、種類ごとに整理します。「訪問介護を週3回」「デイサービスを月10日」というように、利用頻度も含めて整理しておくと、現在の生活状況が伝わりやすくなります。
◆地域生活関連
外出の頻度(「週に何回」「ほぼ毎日」など)、参加している社会活動(地域の集まり、趣味の会など)、直近の入所・入院歴などについて確認します。
◆就労関連事項
就労の有無や、就労している場合はその形態(一般就労、就労継続支援など)、就労を希望しているかどうかなどについて確認します。
◆日中活動関連事項
日中をどのように過ごしているかを確認します。たとえば、通所先があるのか、自宅で過ごすことが多いのかなど、普段の生活の状況を整理します。
◆介護者関連事項
主に介護をしている方(ご家族など)の状況、年齢、健康状態、就労状況などを確認します。介護者の負担が大きい場合には、その状況についても、分かる範囲で具体的に伝えておくことが大切です。
◆居住関連事項
現在の住まいの状況(持ち家、賃貸、施設など)や、同居している方の人数・続柄などを確認します。
概況調査票の記載内容(イメージ)
概況調査票の様式や項目は自治体によって異なります。以下は、記載されることのある内容をイメージした例です。実際の様式や記載項目とは異なる場合があります。
現在受けているサービスの状況
例:「居宅介護を週3回利用(入浴・食事の介助)」「生活介護を週5日利用(日中活動)」
地域生活関連
例:「外出は週2〜3回程度で、近所の買い物や通院が中心」「地域の行事に月1回程度参加」「直近1年以内の入院なし」
介護者関連事項
例:「主な介護者は本人の親。60代で、パートタイムで就労中」「夜間の見守りが必要で、まとまった睡眠が取りにくい」
居住関連事項
例:「持ち家の一戸建て。段差があり、車椅子での移動がしにくい」
記載する際には、生活の状況が具体的に伝わるよう、可能な範囲で頻度や時間などを具体的に書くと分かりやすくなります。たとえば、「外出が多い」ではなく「週2〜3回程度」、「夜間に見守りが必要」だけでなく「夜間に2〜3回起きて確認している」など、実際の状況を具体的に記載します。
ただし、実際より多く・少なく見せるのではなく、現在の生活状況をそのまま記載することが大切です。
記入で困ったときは
概況調査票は、相談支援事業所や、認定調査の依頼元である市町村の窓口に相談しながら確認できる場合があります。
分からない項目があっても、無理に推測して記入する必要はありません。分かる範囲で、現在の状況をできるだけ正確に伝えることが大切です。
記入方法に迷う場合は、そのままにせず、市町村の窓口や相談支援専門員などに確認してみてください。
最後に
概況調査票は、障害支援区分そのものを決めるための書類ではありません。その方が、どのような環境で、どのような生活を送っているのかを伝えるための書類です。
認定調査票が、日常生活の中で必要となる支援の状況を確認するものだとすれば、概況調査票は、その背景にある暮らしや生活環境を伝えるもの。区分という数字だけでは見えない生活の背景を、支給決定につなげるための大切な情報です。
参考資料
障害支援区分の認定調査そのものの流れは、こちらにまとめています。
→ 〔障害支援区分の認定調査―調査員は何を見て、どう記録しているのか〕
医師意見書と特記事項の役割分担については、こちらの記事で解説しています。
→ 〔医師意見書と特記事項は、どう役割分担しているのか―調査員の目から見た「もう一つの書類」〕


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