障害支援区分は、認定調査を受けたらすぐに決まるわけではありません。「一次判定」と「二次判定」という2つの段階を経て、最終的な区分が決まります。この記事では、それぞれの段階で何が行われているのかを整理します。
認定調査に携わる立場からの個人的な経験と、公表されている制度資料にもとづいています。所属先の見解ではありません。運用の細部は自治体によって異なる場合があります。
一次判定―コンピューターによる自動判定
一次判定は、認定調査員が聞き取った80項目の調査結果と、医師意見書の一部の項目をもとに、コンピューターが自動的に算出する判定です。ここでは、認定調査で選択された内容が一定の基準にもとづいて計算に反映されます。一次判定の算出そのものに、調査員や審査会の個別の判断が加わるわけではありません。
だからこそ、認定調査の段階で、実際の状況に合わせてどの選択肢を選ぶかという最初の判断が重要になります。
二次判定―市町村審査会による総合的な判断
二次判定は、市町村審査会が一次判定の結果をもとに、内容を審査する段階です。ここで確認される重要な資料が、認定調査員が記載した「特記事項」と、医師意見書です。医師意見書がどのような書類か、詳しくはこちらをご覧ください。→〔医師意見書って何?申請前に知っておきたい5つのこと〕
審査会は、一次判定の結果をそのまま追認するのではなく、特記事項や医師意見書の内容を踏まえて審査し、必要に応じて区分を変更することがあります。ただし、一次判定の結果を変更する場合には、何を根拠にできるかについて明確なルールがあります。
二次判定で「変更の理由にできるもの・できないもの」
厚生労働省のQ&Aでは、一次判定の結果を変更する場合、その根拠となるのは特記事項と医師意見書に記載された内容であると整理されています。逆に言えば、次のようなものは、それ単体では一次判定の結果を変更する直接の理由にはできないとされています。
- 概況調査票に記載されている同居状況や介護者の状況
- 前回(更新前)の二次判定結果との違い
- 判定スコア(区分ごとの該当可能性を示す数値)の差が小さいこと
これらの情報を審査の際に確認すること自体はありますが、それだけを理由に区分を変更することはできない、という位置づけです。
特記事項が果たす役割
このルールから見えてくるのが、特記事項の重要性です。認定調査では、「どの選択肢を選んだか」だけでなく、なぜその選択肢を選んだのか、実際にはどんな場面で、どの程度の支援が必要なのかを、具体的に記録していきます。こうした特記事項の内容が、二次判定で一次判定の結果を見直す際の重要な情報になります。
調査を受ける側にとっても、選択肢を選ぶ場面での回答だけでなく、その背景にある具体的な状況を伝えることが大切です。「できます」「できません」だけでは伝わらない、次のような具体的な状況が、実態に合った記録につながります。
- どんなときにできないのか
- どのくらいの頻度で困るのか
- 誰かの声かけや見守りが必要なのか
- 実際にはどんな支援を受けているのか
最後に
障害支援区分は、「調査員が決めるもの」でも、「コンピューターだけで決まるもの」でもありません。認定調査の結果をもとにコンピューターが行う一次判定と、市町村審査会が特記事項や医師意見書などを踏まえて審査する二次判定という、2つの段階を経て決まります。
それぞれの段階で何を根拠に判断されているのかを知っておくと、認定調査でなぜ具体的な状況まで伝えることが大切なのかも、見えやすくなるかもしれません。
認定調査全体の流れについては、こちらの記事で詳しく解説しています。 → 〔障害支援区分の認定調査―調査員は何を見て、どう記録しているのか〕
特記事項と医師意見書の役割分担については、こちらもあわせてどうぞ。 → 〔医師意見書と特記事項は、どう役割分担しているのか―調査員の目から見た「もう一つの書類」〕


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