同居家族の有無は、認定調査の結果にどう影響するのか

障がい区分認定調査

結論から言うと、同居家族がいるかどうかだけで、障害支援区分の判定結果が直接左右されるわけではありません。判断の基準になるのは、あくまで一つひとつの調査項目について、本人にどれだけの支援が必要かという点です。この記事では、家族の同居状況が認定調査の中でどのように扱われているのかを整理します。

認定調査に携わる立場からの個人的な経験と、公表されている制度資料にもとづいています。所属先の見解ではありません。運用の細部は自治体によって異なる場合があります。

概況調査票には、同居家族の状況を記載する欄がある

認定調査では、80項目の調査とは別に「概況調査票」が作成されます。ここには、単身か同居かといった世帯の状況や、家族など本人を支援している人の状況などが記載されます。こうした情報も、審査の過程で確認される資料の一つです。

ただし、それ自体を理由に一次判定の結果を変えることはできない

厚生労働省のQ&Aでは、この点について整理されています。市町村審査会は、コンピューターによる一次判定の結果をもとに、特記事項や医師意見書の内容を総合的に確認して審査判定を行います。そのため、概況調査票に記載されている「単身か同居か」「家族がどのような支援をしているか」といった情報そのものを理由に、一次判定の結果を変更することはできないとされています。

つまり、同居家族の状況は、対象者の生活背景を理解するための情報として確認されるものですが、「家族と住んでいるから区分を軽くする」といった判断の根拠にはならないということです。

個々の項目は「本来行うべき支援」で判断される

もう一つ押さえておきたいのが、各調査項目の判断基準です。認定調査では、本人が支援を拒否するなどして実際には必要な支援が行われていない場合でも、「実際に行われている支援」ではなく「本来行うべき支援」にもとづいて判断する考え方があります。

これは、同居家族による支援についても同じです。たとえば家族が身の回りの世話をしている場合でも、それだけを理由に「本人には支援が不要」と評価されるわけではありません。確認するのは、その行為を行うために、本人に本来どの程度の支援が必要なのかという点です。家族が頑張って対応しているからといって、それだけで本人に必要な支援の度合いが低く見積もられる仕組みにはなっていません。

では、同居家族の情報は何のために聞かれるのか

では、同居家族の状況を聞くことに意味がないのかというと、そうではありません。家族構成や日常的な支援の状況を知ることは、その方がどのような生活を送っているのかを理解するための大切な情報です。また、特記事項に記載する内容を具体的にしたり、医師意見書との整合性を確認したりする際にも、生活背景を把握することは役立ちます。さらに、サービス等利用計画を検討する段階では、家族の介護や支援の状況が重要な情報になることもあります。

つまり、区分の判定結果を直接変更する理由にはならなくても、その方の生活全体を理解するための土台となる情報として扱われている、という位置づけです。

調査員として伝えたいこと

「家族が手伝ってくれているので、大したことはありません」と、実際より控えめに伝える方に出会うことがあります。ですが、調査で確認したいのは、家族が対応しているかどうかだけではありません。その行為を本人が行うために、どのような支援が必要なのかを確認することが大切です。

同居家族がいることを理由に、必要な支援まで控えめに伝える必要はありません。普段、どのような場面で、誰が、どのような支援をしているのかを、そのまま伝えていただくことが、実態に合った記録につながります。

最後に

同居家族の有無は、その方の生活状況を理解するための大切な情報です。ただし、「家族と住んでいる」という事実だけで、障害支援区分の判定結果が直接変わるわけではありません。判断の軸になるのは、あくまで一つひとつの行為について、本人にどれだけの支援が必要かという点です。

「家族がやってくれているから、自分はできていることになるのでは」と心配する必要はありません。普段の生活で実際にどのような支援を受けているのかを、そのまま伝えることが、実態に合った記録につながります。

認定調査全体の流れについては、こちらの記事で詳しく解説しています。 → 〔障害支援区分の認定調査―調査員は何を見て、どう記録しているのか〕

聞き取りの伝え方については、こちらもあわせてどうぞ。 → 〔認定調査で「できます」と答える前に―同じ状況でも、伝え方で記録はこう変わります〕

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