就労移行支援とは ― 「働く準備」をするためのサービス

障がい区分認定調査

就労移行支援とは ― 「働く準備」をするためのサービス

これまで紹介してきた就労継続支援A型・B型は、「今、働く場」を提供するサービスでした。

就労移行支援は、少し違います。一般企業などへの就職に向けて、必要な準備をするための、期間を区切ったサービスです。

この記事では、就労移行支援がどんなサービスなのかを整理します。

認定調査に携わる立場からの個人的な経験と、公表されている制度資料にもとづいています。所属先の見解ではありません。運用の細部は自治体・事業所によって異なる場合があります。


就労移行支援とは、どんなサービスか

一般企業などへの就職を希望する方を対象に、就職に必要な知識やスキルの習得、就職活動の支援などを行うサービスです。

具体的には、次のような支援が行われます。

  • 職業訓練やビジネスマナーの習得
  • 企業実習への参加
  • 履歴書の作成や面接対策などの就職活動支援
  • 就職後の職場定着に向けた支援

「今の状態で働く」ことよりも、「一般就労に向けて準備する」ことに重心があるのが、就労継続支援A型・B型との大きな違いです。


雇用契約はなく、賃金・工賃も原則ありません

就労継続支援A型・B型とは、もう一つ大きな違いがあります。

就労移行支援では、事業所と雇用契約を結びません。そのため、原則として賃金や工賃は発生しません。あくまで、「就職に向けた訓練や支援を受けるサービス」という位置づけです。

「働くために通っているのに、お金はもらえないの?」と感じる方もいるかもしれませんが、就労移行支援は「働く場所」ではなく、就職に向けて力をつけるための場所だと考えると分かりやすいと思います。


利用期間は、原則2年です

就労移行支援は、「期間を区切って、就職を目指す」という設計のサービスです。利用期間は、原則として2年間(24か月)です。

ただし、2年間ずっと利用しなければならないわけではありません。準備が整った方から、就職につながっていくのが本来の形です。

また、2年で就職に至らなかった場合でも、個別の状況によっては、必要性が認められた場合に利用期間の延長が認められることがあります。利用を中断した場合も、支給決定された利用期間の範囲内であれば、再び利用できる場合があります。


対象になるのは、どんな方か

一般企業などへの就労を希望し、就労に必要な知識や能力の向上、就職活動などについて支援が必要な方が対象です。年齢は、原則として65歳未満とされています。

**障害支援区分の認定は、必須要件ではありません。**区分の有無にかかわらず、利用を検討できるサービスです。「区分が出ていないから、障害福祉サービスは利用できない」と思われることがありますが、就労移行支援は、その代表的な例外の一つです。


就職して終わりではありません

就労移行支援のもう一つの特徴は、就職した後の定着も視野に入れていることです。

就職後も、一定期間は事業所が本人や就職先とのやり取り、働き続けるうえでの相談などに対応することがあります。さらに、長期的な支援が必要な場合には、就労定着支援という別のサービスにつながることもあります。

「就職したら終わり」ではなく、「働き続けられるようにする」ところまでを視野に入れている点は、就労移行支援の大きな特徴です。


就労継続支援との違い

就労移行支援と、これまで紹介してきた就労継続支援A型・B型は、原則として同時に利用することはできません。

ただし、状態や目標に合わせて、サービスを変更することは可能です。たとえば、就労継続支援A型やB型を利用していた方が、一般就労を目指して就労移行支援の利用を検討する、といったこともあります。逆に、就労移行支援を利用した結果、すぐに一般就労へ進むよりも、A型やB型の方が現在の状態に合っていると判断されることもあります。

**「一度選んだら、そのサービスを続けなければならない」わけではありません。**その時点の体調や生活状況、目標に合わせて、選択肢を見直していくことができます。


最後に

就労移行支援は、一般企業などへの就職を目指す方のための、期間を区切った準備・訓練のサービスです。

雇用契約がなく、原則として賃金や工賃が発生しない点は、就労継続支援A型・B型とは大きく異なります。「今すぐ働く場がほしい」のか、それとも「準備をしてから一般就労を目指したい」のか。その違いによって、選ぶサービスも変わってきます。

まずは相談支援専門員や地域の就労移行支援事業所に相談し、ご自身に合った進め方を探ってみてください。

Sources:


就労継続支援A型・B型については、こちらの記事でも解説しています。 → 〔就労継続支援A型とは―B型との違いは「雇用契約」にあります〕

区分ごとに使えるサービスの全体像は、こちらにまとめています。 → 〔区分ごとに使えるサービス一覧―「自分はどれが使えるの?」に答える早見表〕

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