就労アセスメントとは―作業場面から「働き方」を一緒に整理するプロセス

障がい区分認定調査

就労選択支援の中心となる「就労アセスメント」は、書類や面談だけで完結するものではありません。実際の作業場面などを通じて、本人と一緒に「働くうえで必要なこと」を整理していくプロセスです。この記事では、就労アセスメントがどのような流れで行われ、その結果がどのように活用されるのかを整理します。

認定調査に携わる立場からの個人的な経験と、公表されている制度資料にもとづいています。所属先の見解ではありません。運用の細部は事業所によって異なる場合があります。

就労アセスメントの4つのステップ

就労選択支援における就労アセスメントは、大きく次のような流れで進められます。

  1. 作業場面等を活用した状況把握―短期間の生産活動などの作業場面を通じて、本人の様子や作業への取り組み方を実際に確認します
  2. 多機関連携によるケース会議―本人を中心に、家族や学校、相談支援専門員、その他の支援機関などと情報を共有し、本人の希望や状況について整理します
  3. 本人との協同によるアセスメントシートの作成―作業場面での様子やケース会議で共有された内容を踏まえ、本人と一緒にアセスメントシートを作成します
  4. 関係機関等との連絡調整―作成したアセスメントシートをもとに、その後の就労支援やサービス利用につなげるため、必要に応じて関係機関等との連絡調整を行います

書類の記入や質問への回答だけでなく、実際に作業している場面から本人の様子を確認する機会があることが、就労アセスメントの大きな特徴です。

アセスメントシートに書かれること

アセスメントシートには、就労に関する適性・知識・能力の状況、本人の就労に関する意向、就労するうえで必要な配慮などが整理されます。具体的には、現在の状況、本人の強み、課題や苦手なこと、特性、必要な配慮、支援の方法などが整理されます。また、就労選択支援事業所として、アセスメントを通じて把握した本人の状況や、今後の就労に向けて考えられる可能性などが、所見としてまとめられることもあります。

大切なのは、「何ができないか」を一方的に評価するものではなく、どんな環境や配慮があれば本人が力を発揮しやすいのかを整理するという点です。

アセスメント結果はどう使われるのか

作成されたアセスメント結果は、その後の就労に関する支援や進路を検討する際の情報として活用されます。就労移行支援や就労継続支援A型・B型などの利用を検討する際には、本人の希望や状況を整理するための材料の一つになります。また、必要に応じて関係機関と情報を共有することで、その後の就労支援につなげていくことも想定されています。

つまり就労アセスメントは、その場限りで「評価して終わる」ものではなく、本人がこれからどのような働き方を選んでいくかを考えるための情報を整理するプロセスだといえます。

「本人と協同」という視点

就労アセスメントで大切にされているのが、「本人と協同して進める」という姿勢です。これは意思決定支援の考え方にもとづくもので、アセスメントの結果によって、本人の将来や利用するサービスが一方的に決められるものではありません。

評価される側として受け身になるのではなく、本人自身が、「自分はどんな作業がしやすいのか」「どんな環境なら働きやすいのか」「これからどんな働き方をしたいのか」といったことを整理しながら、アセスメントに参加していきます。本人自身が、自分の特性や希望を理解する機会になることも、この制度の特徴の一つです。

調査員として伝えたいこと

障害支援区分の認定調査は、「日常生活にどれだけの支援が必要か」を確認するものです。一方、就労アセスメントは、「働くうえで何が必要か」「どんな環境や支援があれば力を発揮しやすいか」を、本人と一緒に整理していくものです。

区分認定の相談を受ける中で、「働くことについても一度整理してみたい」「どの就労サービスが自分に合っているのかわからない」という声を聞くことがあります。そうしたときに、すぐに就労移行支援やA型・B型のどれかを選ぶだけでなく、その前に自分の働き方について整理する機会があることを知っておくと、一つの選択肢になると思います。

最後に

就労アセスメントは、作業場面での状況把握や関係者との情報共有、本人とのアセスメントシートの作成などを通じて、本人に合った働き方を整理していくプロセスです。書類上の評価だけで終わるのではなく、実際の作業場面を参考にしながら、本人自身も参加して「これからの働き方」を考えていく点に特徴があります。

「どのサービスを利用すればいいかわからない」「自分にどんな働き方が合っているのかわからない」と感じている方にとって、一度立ち止まって自分の希望や特性を整理する機会になるかもしれません。

参考:就労選択支援 実施マニュアル(大阪府)

就労選択支援そのものについては、こちらの記事で詳しく解説しています。 → 〔就労選択支援とは―「働く場」を選ぶ前に活用できる、新しいサービス〕

認定調査とアセスメント全体の整理については、こちらもあわせてどうぞ。 → 〔認定調査とアセスメントは何が違うのか―混同しやすい「調べる」場面を整理する〕

コメント

タイトルとURLをコピーしました